今日は学校の後が家に来ることになっている。
授業が終わって、一緒にオレの家まで来た。

「お、お邪魔します…」
「んな緊張すんなって」

はめちゃくちゃ緊張した顔をしている。
オレも同じ立場ならめちゃくちゃ緊張するだろうが、できればリラックスしてもらいたい。

「なんか見たいDVDとかあるか?」
「えっと…」
「あ、そこの棚にあるから適当に選んでくれ。オレちょっと着替えてくる」

制服のままはなんなので自分の部屋に着替えに行く。

「……ふー」

自分の部屋に入ると、無意識にため息が出る。
どうやら自分でも気付かないうちに大分緊張していたようだ。

「……」

とりあえず、着替えねーと。
あ、あとにお茶でも出さないと…。





「待たせたな」
「あ、火神くん」

はまだ迷っているようだ。

「茶飲むか?」
「うん。ありがとう」

確かにが見たがるようなDVDはねーよな。
そもそも数がそんなにないのに、あるものも映画だとアクション系ばっかだし。
気に入ってるプレイのあるNBAの試合の録画もあるけど、それこそ興味ねーだろうし…。

「はい」
「ありがとう」

はまだ棚の前にいる。

「わり、オレの趣味だからが気に入るのないよな」
「そんなこと…」
「あ、これとかどうだ?」

上のほうに置いてあったDVDを手に取る。
アメリカにいたときアレックスがよく見てた日本のアニメだ。
日本に帰った後、なんだか恋しくなって買ったんだっけか…。

「あ、それなら知ってる」
「んじゃこれでいいか」







「……」

…だよな。こうなるよな…。

「……すー…」

はオレの横ですっかり寝入ってしまってる。
高校生にもなってアニメはねーよな…。
でも二人きりで何もしないというのにずいぶん緊張してしまって、もうアニメでもなんでもいいから何か行動を起こしたかったのだ。
まあ、寝ちまったってことははずいぶんリラックスしてくれたようだが。

「…ん……」
「!!」

お、おいおい…!

「た、

はオレの肩に寄りかかっくる。
体が一気に熱くなったのを感じる。

「……」

このままじゃいろいろやべえ。そう思ってを起こそうとする。

「……ん」
「……」

…くそ!寝顔かわいい…起こせねえ…。
でもこのままじゃオレのほうがやばい…。

とりあえず、自分の体をから離そうと、の両肩を掴む。

「ちっちぇ…」

…小さい肩だな。
いや、わかってたことだけど。
はオレと比べなくても、低めの身長だ。
腕も細いし、飯もあんまり食わねーし。

「……」

いや、ドキドキしてても仕方ねえ。
そっとを離さねえと…。

「…ん」
「!」

やべ、起きちまった!

「…あれ、火神くん」
「い、いやオレ別に変なことしようとしてたわけじゃなくて…」
「え…あっ!」

の顔が一気に赤くなる。
ちげえ!別にキスしたいとか、抱きしめたいとか思ってねえ!!

「あ、ご、ごめん寝ちゃってた…!」

は叫ぶように言う
あ、そっちか。

「ごめんね…」

は両手で顔を覆う。
覆っても、両手まで真っ赤だ。

「いや、それは全然…」
「う、うん…」

オレたちの間に沈黙だけが流れる。
ど、どうすればいいんだ……。

「か、火神くん」
「お、おう」
「その…緊張するね」
「…おう…」
「でも、ね」

はオレから少し目線をそらして、恥ずかしそうに言う。

「…一緒にいられるの、嬉しい、よ」

の言葉を聞いて、思わずを抱きしめた。

「きゃっ」
「あ、わり!」
「あ、違うの!」

が驚いた声をあげるから腕を離すと、はオレの服を掴んだ。

「びっくりしただけで、あの、嫌じゃない、の」

にそう言われて、また顔が赤くなる。
もう一度を引き寄せた。

「…あ、あの、痛くねえか」
「だ、大丈夫」

思いっきり抱きしめたら折れそうだなと思うほど、小さい体だ。
だけど、力を弱めたくない。もっと強く抱きしめたいと思ってしまう。

「…
「…うん」
「…好きだ」
「…私も」

再生の終わったDVDは無音になって、部屋の中にオレとの鼓動だけが響いてた。










胸の音
14.06.01






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