今時古いと思いつつ一週間かけて書いたラブレターを握りしめて屋上から帰っていく人の波をみていた
夏休み最後の一週間で書いて、渡そうと思って留まったのが一週間
その二週間の間に告白していればこんな光景は見なかったのだろうか
ほら、大好きなあいつと可愛いあの子が一緒に帰ってる
昨日、あの子があいつに告白したって言ってたなあ
あいつはいつもどおりに接してて、だけどあの子は頬を赤く染めて緊張してる
女のあたしから見て可愛いんだからあいつは一体あの子をどう見てるんだろう
可愛いなぁと思っているの?あたしには向けない瞳であの子を見つめて、愛しいと思うのだろう
あんなおとなしそうな顔してあいつに告白するなんて、あの子は意外と度胸のある子だったんだ
あたしなんていつもおとなしくしろだとか言われてるのにいざと言うとき言いたいことが言えないマヌケだ
いつもあいつと話してるのはあの子じゃなくてあたしのほうなのに、今更たった一言が言えないなんて

もうすぐ二人が校門を抜ける そしたらすぐ右に曲がって、姿は見えなくなる
あいつのことはずっと見ていたい、だけど、あいつとあの子が並ぶ姿を見たくはない
風が吹いてあの子の綺麗な髪が揺れる 少し後にあたしの髪を風が揺らす
この距離の差が、あたしとあの子の差 あたしとあいつの差

二人は右に曲がって見えなくなった ほっとしたと同時に寂しくなる

「越前、」
「好き、です」

こんなところから言ったってあいつには届かない
届かなくていいんだ、だってあいつはもうあの子のものなんだから

「越前」

空を見上げると、悔しいぐらいに青かった
















泣きたくなるほど青い空






















06.08.28