赤司君と付き合い始めて、そろそろ三年が経つ。
高一の終わりから付き合い始めて、私たちは今大学生だ。
お互い一人暮らしで、各々の部屋をよく行き来している。

そして今日も、そんな日である。
付き合い始めの当初は「デート」と言えば寮暮らしだったこともあってどこかに行ったりが主流だった。
だけど二年が過ぎたあたりから、段々とただただ一緒に部屋で過ごすだけの時間も多くなってきた。

今日は私の部屋で、二人それぞれ違う本を読んでいる。
赤司君は何か難しそうな洋書、私の方はファッション雑誌だ。

「……」

この服可愛いと思ってお値段を見て、はあとため息を吐く。
一人暮らしのバイト学生にはつらいお値段設定だ。

「…?」

ぱらりとページを捲ると、つんと髪が引っ張られる感触がする。
隣を見ると、赤司君が私の髪をつまんでいた。

「ああ、すまない。綺麗な髪だと思って」
「え、そう?」
「ああ」

赤司君はそう言うと、私の髪にキスをする。
なんだか気恥ずかしい仕草だ。

「え、えっと」
「照れることないだろう。オレたちの関係で」
「まあ、そうなんだけど…」

付き合って早三年。
もうそれなりのことはしているけれど、ときどきこういうちょっとした行動に照れてしまうことがある。

「恥じらうも可愛いけどね」
「…赤司君って、そういう口説き文句を言う訓練でも受けてるの?」

半分照れ隠し、半分本気でそう言ってみる。
だって赤司君は本当にすごいのだ。
ハリウッド映画に出てきそうな台詞も真顔で言ってしまうし、それが似合ってしまう。
私は付き合い始めた当初は「好き」と伝えるだけでも照れくさくて仕方なかったのに、赤司君は最初から平気な顔で愛を囁いてくれていた。
何か英才教育でも受けているのではと疑いたくもなる。

「別に受けてないさ。強いて言うなら…」
「?」
「…人はいついなくなるかわからないからな。いるうちに、できるだけ思った気持ちを多く伝えたいと思っているよ」

赤司君は俯きがちにそう呟いた。
その目は少し揺れている。

「!赤司君!」

思わずぎゅっと彼の手を握る。
そうしなくてはと思ったのだ。

「なんだい?」
「え、えっと…」

赤司君の今の発言は、きっと家族のことを思っての言葉なのだろう。
そうなると、気軽に触れていい話題ではないと思う。
とはいえ、何か言わなくてはと思う。

「私も、赤司君のこと好きだよ」

「気持ちを伝える」というのなら、一番伝えなくてはならないのはこれだろう。
赤司君みたいに凝った台詞や行動はできないけれど、こうやって気持ちを伝えることはできる。

「赤司君みたいなかっこいいセリフは言えないけど…」
「いや、そんなものはいらないだろう」

赤司君はそっと私を抱き寄せる。
胸がトクントクンと、優しく響く。

「どんな飾った言葉より、その言葉が一番うれしいよ」

赤司君はそう言って私のキスをする。
触れるだけの、でもとても甘くて幸せなキス。

「オレもが好きだよ。世界で一番愛している」

赤司君からその言葉を聞くのはもう何度目だろう。
三年の付き合いの中で、数えきれないほどその言葉を彼はくれた。
だけど、やっぱり何度聞いても嬉しくて心地いい。










何度でも
15.08.26


リクエストの赤司とイチャイチャする話でした!
ありがとうございました!




感想もらえるとやる気出ます!