WCも終わった年末のこと。
辰也と一緒買い物に来ていた。
「あ、コンビニ寄っていい?」
「うん」
お店を回っていたら体が冷えてきてしまった。
温かい飲み物を買おうと辰也と一緒にコンビニに入った。
「ちょっと待ってて」
そう言ってホットミルクティーをレジに持っていく。
お会計を済ませると、辰也は入り口近くの棚をじっと見つめている。
「辰也、どうしたの?」
「、年賀状って書かなきゃいけない?」
辰也が見ている棚には年賀状のサンプルが飾られていた。
そうか、なるほど。
辰也は年賀状書くのも久しぶりなのか。
「久しぶりだから…日本にいたころはクラスの友達とかに送ってたとは思うけど」
「そっか。最近は書かない人多いけど、私は書いてくれたらうれしいな」
小学校のころに比べて、年賀状を書く枚数は減ってしまった。
だけど、やっぱりもらうと嬉しいものだ。
私もWC前は忙しいだろうと思って、早めに部員名簿を見て部員に書いて出しておいた。
「うん。じゃあに書くね」
「うん!」
「じゃあ一枚だけでいいか」
辰也は一番少ない枚数のものを取る。
一枚だけ…というものもちょっと寂しいような…。
「せめて監督には書いたら?」
「監督?なるほど」
「あと部員とか」
「部員…みんな書くの?」
「…それは…まあわからないけど…」
そういえば部で書きそうな人ってあまり思いつかない。
三年生は書きそうな人も多いけど、受験だから年賀状書けないかもしれないし…。
「じゃあと監督だけでいいや」
「…それはそれで…」
とはいえ、もう今日は30日。
今からじゃ書くのも大変か…。
「別に二枚でもいいけど、年賀状来たらちゃんと返すんだよ」
「ああ、それは昔母さんに言われたな」
そう言って辰也は五枚入りの年賀状を一つ手に取る。
「もオレに書いてくれた?」
「うん。もちろん」
「そっか、楽しみにしているね」
辰也はにっこりと笑う。
そんなに楽しみにしてもらうような年賀状じゃないんだけど…。
とはいえもう出してしまったので変えられない。
何の工夫もない年賀状だけど、辰也が喜んでくれることを祈っておこう…。
*
新年、一月一日。
朝起きるとお父さんが年賀状を家族に配ってくれていた。
「これ、の分な」
「ありがと」
一枚一枚確認していく。
高校の同級生に監督、中学の友達からも来ている。
一番後ろにあったのは辰也からのだ。
年末ギリギリに出したはずのに、家が近いからかもう届いたみたいだ。
「…!?」
なんて書いてあるんだろうと思って裏返して、その文面を見てひっくり返りそうになる。
お父さんはこの文面を見たのだろうか。
そっとお父さんを見つめる。
「お、お父さん…」
「?」
慌てる私を見て、お父さんはきょとんとした顔をする。
どうやら見ていないようだ。
「なんでもない!おせち食べよ!」
年賀状をそっとしまって炬燵に入る。
辰也から来た年賀状には、しっかりと「愛してるよ 今年もずっと一緒にいよう」と書かれていた。
その言葉は嬉しいけど、家族に見られたら恥ずかしいなんてものじゃない。
辰也ってば、本当にもう…!
「………」
…でも、やっぱり嬉しいから大切にとっておこう。
彼からの年賀状
15.01.01
今年もよろしくお願いします!
感想もらえるとやる気出ます!
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