赤司くんは私のことが好きらしい。
完璧超人の赤司くんがなぜ私みたいな平々凡々女子を好きになったのかはわからないんだけど。
それを聞くと「好きになるのに理由がいるのかい」と言われてしまったので、まあその通りですと納得するしかなかった。
「キミは僕を好きになるだろう」
「…は?」
「キミは僕を」
「いや、聞こえてはいたんですけど」
赤司くんの突然の言葉に驚きを隠せない。
何を言っているかは聞こえたけど、何を言っているか理解は出来なかった。
「…どうしてわかるの?」
「わかるさ。当然だ」
「はあ…」
「欲しいものは全部手に入れてきた。キミも手に入れる」
赤司くんはきっぱりとそう言ってのける。
前からすごい人だとは思っていたけど、想像以上だ。
「…全部って、本当に全部?」
「ああ」
「…予想外の出来事とか、なかったの?」
「あったさ。でも最終的には僕の思い通りだ」
…なんだか、私は思ったよりすごい人に好きになられてしまったらしい。
でも、今回ばかりは赤司くんの思い通りにはならないと思う。
いくらなんでも、好きになられたからって、いきなり好きになるなんて…。
*
「僕の思った通りになっただろう」
いや、本当、なんなんですか、これ。
あれから数週間。なぜか私は赤司くんと一緒に帰っている。
なんなの。なんでなの。
そんな簡単に人を好きになったりしないと思っていたのに。
赤司くんという人は、恐ろしい人だ…。
「はい」
「?」
「晴れて恋人同士になったんだ。まずは手を繋ごう」
赤司くんは手を差し出してそう言う。
手を繋いで、帰ろうと言うことか。
悔しい。全部、赤司くんの思い通りじゃないか。
「……」
赤司くんの手を取らず、背伸びをする。
少しくらい、彼の思い通りにならないことがあってもいいんじゃないか。
赤司くんは不思議そうな顔をする。
気取られない内に、早く。
私は彼の唇にキスをした。
「!」
赤司くんは目を丸くする。
私は破裂しそうなくらい心臓がドキドキ言ってるけど、気付かれないように薄く笑って見せた。
「…びっくりした?」
「…ああ」
やった。
やっと一泡吹かせられた。
「赤司くんの思い通りにならないこともあるでしょ」
そう言えば、今度は赤司くんから私にキスをする。
「こんなことなら大歓迎だ」
望むところだ
13.08.27
ライさんリクエストのヒロイン迫られておたおたしてる赤司でした〜
「あなたの思い通りにならないこともあるのよ」ってヒロインが赤司に言うオチの話をずっと書きたかった!
感想もらえるとやる気出ます!
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