「あのさぁ」 「何や?」 「離してくんない?」 ここは白石の家で、って別に場所はどうでもいい。何ていうの、体勢が問題なわけで、私が白石に後ろから抱きしめられている形。 「嫌なん?」 「嫌っていうか…恥ずかしいんだけど」 「誰も見てへんで」 「そういう問題じゃ…」 人が見てないとかじゃなくて、こう、あまりにも近すぎる。白石の顔が、さ。 「は寂しくなかったん?」 「え?」 「俺と会えなくて」 そう、白石とは部活だとか家の用事だとか、そういうので最近まとも会えていなかった。こうやってちゃんと話すのは本当に久しぶり。 「そりゃ、まぁ…寂しかったけど」 「ならくっついてもええやろ」 「何でそうなるの…」 「一緒にいるときくらい離れたくない」 白石はぎゅ、と腕の力を強めて、キスをする。そのとき見た白石の顔が、少し切なげで。ああ、何よ、少し愛しいと思ってしまったじゃないか。 後ろに、つまり白石のほうに体を向けて、今度は私から抱きしめる。 「なんや、恥ずかしい言うてたくせに」 「恥ずかしいもへったくれもないよ」 私だって、離れたくないんだから。そう言ったら、白石はもう一度私にキスをする。言葉より、体温を感じられるキスのほうがずっと好き。だけどキスより、温かく抱きしめてくれるほうがもっと好き。 07.02.10 もう白石ヒロインは標準語で突き通したいと思いま す … |