「実は今日誕生日なんです」

黒子くんと一緒に帰る帰り道。
黒子くんがいきなりとんでもない爆弾発言を落としてきた。

「え、今日?!」
「はい、今日です」
「1月31日!?」
「はい、1月31日です」

頭が真っ白になる。
彼氏の誕生日祝い損ねるなんて…!

「ご、ごめんなさい…」
「いえ、そういえば言ってなかったなあと思いまして」

黒子くんと私は三学期に入ってから付き合い始めた。
つまりまだ付き合い始めて数週間。
誕生日の話したことないや…。

「な、何かほしいものありますか!」

祝い損ねた、と思ったけど、まだ今日は終わっていない。
な、何かプレゼント…!

「欲しいもの」
「うん!」
さんと一緒にいる時間が欲しいものなので、すでにもらっています。大丈夫です」
「だ、大丈夫じゃないよ!」

黒子くんは微笑んでそう言うけど、それじゃなんか違う!
いやいや私はそう言ってもらえて非常に嬉しいんですが!

「本当のことです」
「でも」
「半分は」
「…半分?」

もう半分は、なんだろう。

さんが、欲しいです」

真っ直ぐな眼でそう言われて、私は固まる。
わ、私、私!?

「ええええ!?」
「ああ、別にそんな変な意味ではなくて、至って軽い感じで」

わ、私。
私が欲しいとは、それは…。
軽い感じ、って言ってるし、それなら。

よ、よし、大丈夫、頑張る!

「く、黒子くん」
「はい」
「…目、瞑ってください」

黒子くんは一瞬驚いた顔をした後、すべてを理解した様子で目を閉じた。
黒子くんに一歩近付いて、背伸びをする。

誕生日プレゼント、だ。

「…さん」
「は、はい」

終わった後、黒子くんがゆっくり目を開けて神妙な顔をした。

「すみません」

そう言って、深々頭を下げられた。
ど、どういうこと?

さんと一緒にいる時間が欲しかったのも本当なんですが」
「う、うん」
「それだったら別に誕生日を言い出さなくてもよかったわけで」

確かに、それはそうだけど。

さんは優しいから、誕生日だと言えば何かしてくれるだろうという下心がありました。すみません」

黒子くんは深々頭を下げる。
し、下心って…。

「ごめんなさい」
「い、いやいや謝らなくても…」
「でも今すごく罪悪感が」
「…罪悪感だけ?」

そう聞いてみる。
今の行為で、罪悪感だけしか感じていなかったら、少し、

「…いいえ」

黒子くんは首を横に振る。

「嬉しかったです」
「私もだよ」

よかった。
罪悪感だけで、嬉しいとか、そういうふうに思ってくれなかったらどうしようかと思った。

「私も嬉しかったから…その、あんまり気にしないで」
「…はい」

黒子くんは私の手を握る。

「…もう一度、していいですか」
「…うん」

黒子くんの顔が近付く。
目を瞑って、もう一度キスをした。

「…誕生日おめでとう」
「ありがとうございます」













ラナンキュラス
14.01.31

誕生日おめでとう!





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