「今日はエイプリルフールだよ」
「そうっスね」
「涼太って本当うざいよね」
「え」
「周りからキャーキャー言われて調子乗って見てるとイライラする」
「あ、あの、っち?」
「なに?」
涼太は眉を下げ半分泣きそうな顔で聞いてくる。
「そ、それ、嘘なんスよね…?」
「私嘘吐かないよ」
「えええええ!?」
涼太は今度こそ泣き顔で叫びだす。
モデルのはずなのに、漫画みたいな顔だ。
「だけど今日はエイプリルフールだから」
「あ、そうっスよね!?大丈夫っスよね!?」
「嘘だけど、本当だよ」
そう言うと、涼太は少し心配そうな顔をした。
そりゃそうだ。恋人がこんなわけのわからないことを言ってるんだから。
「…?っち?」
「みんなに囲まれて輝いてる涼太が好きだよ。でも嫌い」
「……」
「だって、涼太は私だけのものなのに」
そう言って涼太をぎゅっと抱きしめる。
みんなの輪の中にいる涼太が好き。いつだってみんなの中心で笑ってる涼太が好き。
別にその中に女の子がいたって構わない。涼太が好きなのは私なんだから。
だけど、みんなの輪の中で笑ってる涼太が嫌い。
だって涼太が好きなのは私なのに。
私だけ、見ていてくれればいいのに。
「っち…」
涼太は強い力で私を抱きしめる。
少し、痛い。
「超可愛いっス!愛してるっス!」
「エイプリルフール?」
「えっ!?いやなんでそうなるんスか!?」
「私全然可愛くないもんねー」
「いやいやいや!今のは本気で言ってるんスよ〜!」
冗談でそう言ってみると涼太は本気で慌てだす。
可愛い奴だ。
「涼太」
「だから今のは本気で」
「好きだよ」
そう言うと涼太の体はフリーズしたように固まる。
「…エイプリルフール?」
「怒るわよ」
「理不尽!」
理不尽ガール
13.04.01
エイプリルフールネタ
本当は台詞だけで作りたかったんですがさすがに無理でした…
台詞だけって結構敬遠されること多いですが、書き手側としては寧ろすごいと思います
台詞だけで書きたい全てを表現するのって本当に難しい
感想もらえるとやる気出ます!
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