人が何のために生きてるかっていったら子孫を残すためと聞いたことがある。
ロマンのかけらもないけれどそれは事実なんだろう。
人が何で人を好きになるかって言ったらそれもまた子孫を残すためと言われた。
それもまたロマンのないことだけど事実なんだろう。
だったら私が白石を好きになったのも子孫を残すためなんだろうか。
いやいやいや無理だ。白石の子を産めと言われても無理だ。とりあえず今は無理だ。
白石だってまさか私に自分の子供産んでほしいなんて言わないだろう。
将来的にはもしかするとありえるかもしれないが今はありえない。

「俺の子供ほしくないん?」

普通にそう言われて私は戸惑った。何を言い出すんだこいつは。
すみません私もあなたも中学3年生ですよね?

「今は無理でしょ、どう考えても」
「いや、今やなくて将来的な話」
「そんなこと言われても、ねえ」

将来と言われても軽く10年は先のことだろう。
それまで私と白石が付き合ってるかと言われればそんなのわからないし。
あ、自分でなんか虚しくなってきた。
いや、とりあえず10年先も付き合ってるとして(むしろそうであってほしいという希望だけれど)そんな10年先のことなんてわからない。もしかしたらバリバリのキャリアウーマンで子供なんて育ててる暇はないかもしれない。
でもまあ、今のまま10年後になったとして、白石の子供、かあ。
今の、あくまで今の私としての考えだけど、白石の子供なら産んでみたいなあ、というより、産みたいなあ、なんて。

「やっぱり人間子孫繁栄のために生きてるのかあ」

ロマンのかけらもないと思ったけど結局自分もそういうことを思うわけで。
血も涙もない現実よりロマンチックが好きな私だけどそんな私も人間なのだ。

「俺は、に自分の子供産んで欲しい思うけど」

誰かに、やなくてに。念を押すように白石は言う。誰かに、じゃなくて私に。

「ええやん、子孫繁栄のためでも。結果がそうでもそれまでの感情がロマンチックなんやろ。誰でもいいから、やなくて誰かに自分の子供産んで欲しい思うのは、ロマンチックとまで言えんでも、子孫繁栄とかそういうの関係ないやろ」

白石は私の頭に手を置いた。そのまま私の頭を撫でてキスをする。
私は白石が好きで、白石も私のことが好きで、この感情がロマンチックだということを、誰も否定なんてできるはずもない。それでいいじゃないか。













10年後のロマン
07.12.13















中学生になんて話をさせてるんだ私は