「氷室の髪って綺麗だね」
氷室の部屋でぼんやりDVDを見ていたときのこと。
あんまり映画が面白くなくて集中できず、横にある氷室の髪の毛に意識が行ってしまう。
「いきなりだな」
「前から思ってたよ」
「そう?」
「触っていい?」
そう聞くと、氷室は一瞬驚いた顔をした。
「いいよ」
「うん」
座っている場所を一つ詰めて氷室の髪を触る。
サラサラだ。
「いいなあ。本当綺麗だよね」
「そう?」
「自分で思わない?」
「思わないな」
うらやましい。どうして女子である私がこの髪の毛で男子の氷室がこんな綺麗な髪なんだ。
「私ごわごわなんだよね。癖っ毛だし」
「オレ、の髪の毛好きだよ」
「えー?」
「可愛いよ」
そう言って氷室は右手で私の髪の毛を梳く。
…なんだろう、妙に緊張する。
「…氷室」
「ん?」
「な、なんか恥ずかしいんだけど」
「からしてきたんだろ」
「そうなんだけど、されるとこんな恥ずかしいとは知りませんでした!」
そう言って詰めた場所を元に戻そうと後ずさりする。
けど、氷室の左手が私の腰に回って、それを阻止する。
「ダメだよ」
さっきより顔が近くなる。
う、わ。ちょっと待って。
「ねえ、。知ってる?」
「な、何を」
「異性の髪の毛触るようになるのってさ、セックスを済ませた後の段階が多いんだって」
………
え
「ちょ、ちょっと、なんの話」
「もう一回言おうか?」
「い、いいです!」
いやいやいや、な、何言ってるのこの人!
逃げようにもがっしり腰を掴まれていて逃げられない。
ど、どうすれば…。
「あの」
「」
優しく髪の毛を撫でながら、氷室は耳元で私の名前を呼ぶ。
これは、本格的に、まずい。
「ひ、氷室。あの、映画」
「つまらないから、いいよ」
「い、いやいや。せっかく借りて来たのに」
「だってつまらないからこんなこと言い出したんだろ?」
「いや、だからってまさかこんな展開になるなんて」
今までそういう雰囲気になったら適当に逃げて来たのに。
これじゃ、逃げられない。
「もっと触りたい」
「…か、髪の毛を?」
精一杯の抵抗のつもりで言ったその言葉は完全に余計なひと言だった。
「言っていいの?」
「や、やっぱいい…」
「そう?」
楽しそうに笑う氷室。
逃げようと身をよじってみても逃げられるはずもない。
「今日は逃がさないよ。だってが触りたいって言って来たんだから」
触りたいの
13.01.23
覚えてる方がいらっしゃるかわかりませんが前にジャンプの感想で「氷室の髪の毛綺麗だなー」って書いたときに思い付いた話です
感想もらえるとやる気出ます!
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