に「忍足くんってかっこいいね」って言ったら「どこが!?」と返された。
もしもし、あなた忍足くんと付き合ってるんですよね?


「まあ、確かに付き合ってるけど」
「ならかっこいいって言ってあげなよ…」
「いやいや、謙也にかっこいいとこなんてどこもないから」
「でも顔はかっこよくない?」
「あー、まあかっこいいちゃかっこいいけど、なんていうの。性格がかっこよくないからさ、顔もかっこよく見えてこなくなるマジック」

の顔に照れという文字はない。つまりはこの発言は本気ってことだ。
照れて思わず「かっこよくないよ!」って否定するならなんとなくわかるけど、本気で言われてると思うと忍足くんが可哀相だ。
忍足くんはあんなにに毎日ラブコールをしてるっていうのに。

「あ、それに運動神経いいじゃん」
「いいっていうかあいつはただのスピードマニアだから。ペン回しまでスピードアップさせてどうすんのよ」
「えーと…、なんか、優しいじゃん。気遣いっていうか、そういうのできるよね」
「ただ単に女々しいのよ。いつまでもいろんなこと引きずっちゃってさ。未練がましいっていうの?」

は今忍足くんとケンカでもしてるんだろか。そう思いたくなるような暴言っぷり。
必死に忍足くんのいいところを見つけてはに問いかけてみるけど、あっさり返される。
何で私が彼のことをかばってるんだろう。だけどここまでくると可哀相過ぎてかばいたくもなってしまう。

「あのさ、忍足くんに対してすっごい厳しいけど、何で付き合ってるの?」

今までの会話を聞いていたら、誰もが浮かぶであろう質問を投げつけた。
そんなに悪いところばっかで、何で付き合ってるんだろう。


「そんなの、好きだからに決まってるじゃない」


そう言い放ったはとってもかっこいい。思わず見惚れていると、忍足くんが「ー!」と言って走ってきた。
毎朝恒例のラブコール。考えてみれば、こんな傍から見れば迷惑極まりないものを文句を言いつつも受け入れてるんだから、好きじゃないわけがない。
悪口ばっか言ってても、好きなものは好き。と忍足くんみたいなカップルは、ある種理想のカップルなのかもしれない。




















08.05.07

晴眼ははっきり見える目、という意味です。

私が書く謙也くんはどうやってもヘタレになります。
最初一人称は主人公の友達ではなく大阪に遊びに(帰省しに?)来た忍足侑士にする予定でしたが、
一人称が関西弁で進むのは私には無理でした…。
しかし主人公だけでなく友達も標準語っていうのはどうなんだ。