「お邪魔しまーす」
「はい、どうぞ」
「アイス買って来たよ」

7月、大分暑くなってきた。
辰也の部屋でアイスを食べようと、アイスを買って来た。

「はい、抹茶」
「ありがとう」

メールで聞いた、辰也の希望のアイスを取り出して渡す。
私の方は、ラブポーションサーティワン。

「おいしい?」
「うん」

辰也は一口食べる。
そういえば、抹茶ってあんまり食べたことない。

「そうなの?」
「いつもなんていうの…特殊?なやつばっかり食べてるから、こういう普通のって食べたことないや」
「そっか。じゃあ、一口」

そう言って、辰也はスプーンを差し出す。
一口食べると、甘みと苦みが口に広がる。

「おいしいね!」
「うん」
「今度、ダブルとか食べる時に頼もうかな〜」

いつも目新しいものばっかり頼んじゃうから、今度はこういうのも食べてみよう。
抹茶アイスを飲み込んで、自分のアイスをもう一口。

のも食べたいな」
「あ、そっか。はい」

スプーンで一口分掬って、辰也に差し出す。
そうすると、辰也は「違うだろ?」と言ってその手を掴む。

「ちょ、」
「こっち」
「…っ」

辰也は私のスプーンを持つ手を左手で掴んで、右手で私を引き寄せる。
そのまま、キスをする。

「ん…っ」

辰也の舌は、私の口内のアイスを舐めとるように動き回る。
もう、口にはアイスなんてほとんど残ってないのに。

「…っ」
「おいしいね」

辰也は薄く笑うと、もう一度キスをする。
今度こそ、アイスは残ってない。

「た、辰也」
「んー?」

段々辰也の体重が掛かってくる。
これは、その、

「た、辰也」
「したくなっちゃったから」
「な…っ」

私の反論をふさぐようにまたキスをする。
そのせいで、私の思考もだんだん麻痺してくる。

「…っ」
「すごい効果だ」
「な、なにが」
「『ラブポーション』」

笑いながらそう言われ、床に押し倒される。
媚薬って、そんなものなくたって、辰也はいつもこうじゃない。
そう思いながらも辰也に抵抗しない私も、媚薬に侵されてしまったようだ。









侵食
13.07.23

実際には媚薬に侵されているのはなく氷室に侵されているというお話
今週まで雪だるま大作戦やってますよみなさん…!






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