辰也の好きなところ。
優しいところ。歩くときはいつだって私の速さに合わせてくれる。
私の小さな変化も見逃さず、疲れていたり落ち込んでいたりするとすぐに気づく。
そして温かい紅茶を淹れてくれたり肩を抱いたり。
私がしてほしいことを言えば全部してくれる。

辰也の好きなところ。
かっこいいところ。
辰也の顔ね、本当にかっこいい。整っていて100人いれば全員が振り向くのではないかというほど。
私ももう見慣れてもいい頃のはずなのに、今でもときどき見惚れてしまう。
顔だけ見ると中性的だけれど、背が高くて筋肉質なところ、男の人だなあって実感してドキドキする。

一番好きなのは、好きなものにまっすぐなところ。
辰也はバスケットボールが大好きで、いつだってバスケに対して真摯だ。
毎日まじめに練習して、バスケのことばかり考えて……。
ちょっとバスケに嫉妬しちゃうぐらい、なんてね。
バスケをしている辰也を見るのが大好き。
シュートを決めて子供みたいに笑う辰也が大好き。
キラキラした瞳でバスケットボールを見つめる辰也が大好き。


「……こ、このぐらいでいい?」

私を膝上で抱える辰也に問いかけるけれど、辰也は笑顔のまま首を横に振った。

「ダメ。もっと聞きたい」
「ええ……」

今日は辰也の誕生日だからと、辰也の要望で辰也の好きなところを言い連ねていたのだけれど、ちょっと恥ずかしくなってきた。

「オレの好きなところ、もうない?」

辰也は眉を下げて、切なげな声で聞いてくる。
うう、そんなわけない。もっとたくさん、数え切れないぐらいたくさんある。
そして辰也も絶対それに気づいてる。わかっててそんな捨てられた子犬みたいな表情で私に問いかけてきているのだ。

「あ、ある……」
「だったら聞きたいな」
「う、うん。ちょっと待ってね」
「いくらでも待つよ」

別に私だって辰也の好きなところを言いたくないわけじゃない。
ただ、言葉にするのがちょっと恥ずかしいだけ。
辰也が喜んでくれるなら、ちゃんと言葉にして伝えなくっちゃ。

が言い終わったら今度はオレの番だね」
「えっ?」
の好きなところ、たくさん伝えたい」

えっ、待って。
辰也も私の好きなところの話するの?
き、聞いてないというか。
なんだかすごく恥ずかしいことになりそうな予感……!

「楽しみだなあ。なにを言おうかな」
「お、お手柔らかに……」






の好きなところ。
笑顔。笑った顔、本当に素敵なんだ。
太陽みたいにキラキラしていて、満開の花のように可愛らしい。
の明るいところ、素直なところ、全部が溢れ出たような笑顔は、何度見ても見惚れてしまう。

の好きなところ。
すぐに赤くなる頬。
今みたいに恥ずかしがるときも赤くなるけれど、嬉しかったりわくわくしたりするときも頬がほんのり赤くなる。
その頬がとっても可愛いんだ。

の好きなところ。
たくさん、本当にたくさんあるけれど、やっぱり一番は優しいところ。
オレがバスケのことで落ち込んだとき、そばでずっと支えてくれた。
はなにもしていないって言うけれど、ずっと隣にいてくれた。オレの手を握ってくれた。
本当に嬉しかったんだ。
オレを支えてくれてありがとう。
支えてもらってばっかりで、オレはなにかお返しできてるかな。
オレはもうから一生分の幸せをもらった気分だよ。
でもそう言うと、はいつも「まだまだ幸せなことがたくさんあるよ」って言うんだ。
そうだね、これからとたくさん幸せを作っていくんだね。

、今年の誕生日も一緒にいてくれてありがとう。
これからも、ずっと一緒にいようね。





好きなところ
18.10.30

ハッピーバースデー!





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