たまたま早起きをした金曜の朝。 家にいてもすることがないのでいつもより早く学校に行くことにした。学校に着いたのは8時丁度。 授業開始時間は8時半、ちょっと余裕すぎるよなぁと思いつつ自分の教室に向かう。 校内にはほとんど人影はなく、たまにいる生徒はジャージを着ていて運動部の朝練かなぁと思った。 自分の教室まであと3歩、というところで教室から話し声が聞こえてきた。 多分、これは白石と忍足の声。 テニス部の朝練はもう終わったのかなぁ。そう思いながら中に入ろうとドアに手を掛けたけど、その手はそのまま止まってしまった。 忍足の「白石って好きな子いないん?」って言う声が聞こえたから。 ちょ、ま、なにこれ。もしかして私すごいところに居合わせてしまったのかもしれない。 頭の中がぐるぐるして、完全に体は硬直している。 これがもし、白石が「忍足って好きな子いないん?」と聞いていたら勢いよく中に入って話に入っていただろうけど、今はそんなことをできるわけがない。 だって白石の好きな子なんて、とても気になるじゃない。 いや聞きたくないような気もするけど、やっぱり聞きたいようなどうしよう聞きたいけど聞きたくない。まだ頭がぐるぐるしてる。 「んーそやなぁ…」 (え、ちょっと言っちゃうの!?) 「なんや、いるんなら早よ言いや」 (ちょ、余計なこと言わないで忍足!) 「俺が好きなんは」 (うわ、心臓が破裂しそうだ!) 「今ドアの外で立ち聞きしてる子」 「はぁ?」と言う忍足の声が聞こえる、けど完全に右から左。 白石は今何を言ったの?ていうかドアの外って気付かれてた?何なんだろうこの事態は。 さっきよりも頭がぐるぐるしちゃって世界が回ってる感じだ。 そんなふうに戸惑っていたらドアがガラッと開けられた。そこには白石の姿があって。 「やっぱや」 「え、ちょ、な」 「いや、意味わからへん」 「さ、っき、何て言ったの」 「ん?俺が好きなんはって言うたんや」 目の前にある白石の姿がはっきり見えない。嬉しいはずなのに何も考えられなくて。 昇降口のほうからがやがやと人の声が聞こえてくる。とりあえず、みんなが来る前にこの赤くなった顔をどうにかしなきゃ。 恋の立ち聞き 07.05.14 大阪ボーイズ様へ! 相変わらず関西弁がよくわかりません… |