気温がぐっと下がり、外にいるのは少しつらい季節。
暖房のおかげで暖かい空気に包まれてる辰也の部屋でぬくぬく暖まっている。

「はあ〜」
「幸せそうだね」
「暖かい部屋にいると、それだけで幸せになれない?」

夏に涼しい部屋に入っても涼しいと思うだけだけど、寒い日に暖かい部屋に入るとすごく幸せな気持ちになれる。
笑顔でそう言うと、辰也は軽くキスをしてくる。

「…いきなり」
「だって、が可愛かったから」
「…別にいいけど」

辰也は本当にキスをするのが好きだ。
何かって言うとキスをしてくるものだから、こっちはいつも油断ならない。
別に、キスをするのが嫌じゃないからいいんだけど。

「でも、前みたいに外ではしなくなったね」

前はそれこそしたくなったらしていた。どこであろうと、ところ構わず。
キスをするのは嫌じゃないと言ったって、外となれば話は別。
衆人環視の中キスをされたらたまったもんじゃない。
外でするのはやめてほしいと何度頼んでもダメだったのに、最近はしなくなった。
やっと私の頼みを聞いてくれたんだろうか。

「だって、もったいないからね」
「なにが?」

そう聞くと、またキスをされる。
さっきより長くて、深いキスだ。

「…んっ…」
「その顔」

その顔って、なに。
少し火照った頭ででそう聞くと、辰也は楽しそうに笑った。

「キスした後の可愛い顔を他の奴に見せるのは、もったいないからね」
「なっ…」

何言ってるの、と反論しようとすると再び唇を塞がれる。

「こんな可愛い顔、オレ以外の前でしちゃダメだよ」

心配しなくても、辰也以外の前でこんな顔、するはずがない。できるはずもない。

「辰也こそ」
「うん」
「私以外の前で、こんな顔しちゃダメだよ」

いつもどこか色っぽい顔をしているけど、こういうときはより一層色気のある表情をする。
私だって、辰也のこんな顔、他の誰にも見せたくない。

「当たり前だろ」

耳元で囁かれて、力が抜ける。
こうなったら、抵抗なんてできるはずもなく。

「もっと可愛い顔が見たいな」











テンプテーション
12.10.23









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