もしもこの世に高瀬準太という人間がいなかったら、私は一体どうなっていたんだろう。 学校に行って、友だちと遊んで、教室の中でバカやって。そんな空間の中に準太がいなかったら。考えただけで怖くなる。だって、今の私は準太でいっぱいだから。準太がいなかったら、私という人間は成り立たないんじゃないかっていうくらい、準太でいっぱいなんだよ。準太がいなかったら、私はきっと空っぽになってしまう。 そう言ったら、準太は照れくさそうに笑った。そして、「そんなのオレも一緒だよ」と私の頭を撫でながら言った。私がいなくなったら、準太は空っぽになってしまうのかな。そんなの、何だか想像できないよ。だって私は準太のことが大好きで大好きで、周りなんて見えなくなるくらい大好きなのに、準太はそんなに私のこと好きだなんて思えないよ。好きなのは私ばっかりで、準太は私のことより他のことが大切なんじゃないかって、いつも思ってる。 そんなはずないだろ、って言って、準太は私を抱きしめる。ぎゅうって。あったかい、なあって、準太の体温を感じて、少し安心して。 「オレだって、いつだって不安だよ」「オレばっか、のこと好きなんじゃないかって」 どくんどくん、準太の心臓の音が聞こえる。私は、私ばっかり準太を好きだと思ってて、準太は自分ばっかり好きだと思ってて。 準太も私と同じように思ってる。そう言ってくれても、やっぱり不安だよ。だから、言って欲しいことがあるの。私は準太が生まれたこの日に言うから、準太も私の誕生日に同じことを言ってくれますか。
天へと響く、この声で
(生まれてきてくれてありがとう) 08.02.02 誕生日おめでとう準太! |