紙飛行機折って、遠くまで飛ばして

「えーい」
「おいおい、折り方がなってねぇよ」
「えー、何よそれ」
「もっと、こう、折るんだよ」
「いや、口だけじゃどう折るのかわからないよ」
「よーし、俺に貸せ」

リョーガは私の手から紙を取って、紙飛行機を折り始める。得意気に折るリョーガの手元を見ながら、あの歌を思い出した。

「紙飛行機に夢を書いて飛ばす、って歌あったよね」
「あ?あったかそんなの」
「あったよ、6年くらい前かな?」
「んー覚えてねぇなぁ」

”んじゃ、いっちょ書いてみるか”と言ってリョーガはペンを取り出す。
「あ、あたしも書こう」

んー、いざ書くとなると迷うなぁ。昔はケーキ屋さんになりたいとか考えてたけど今は別になりたいものなんてないし。そんなことを考えてると、リョーガはさらさらと紙飛行機に願いごとを書いた。

「なんて書いたの?」
「ん?”ちゃんの夢が叶いますよーに”って」
「…な、にそれ」
「立派な夢じゃねぇか」
「夢っていうか願い事だよ。ちゃんと自分の夢書きなよねー」
「いいじゃねぇかどっちでも。
 第一、俺とお前の夢は一緒じゃねぇの?」

う、こいつ、絶対わかってるよ 最悪。

「何が一緒、よ」
「一緒だろ、なぁ?」
「別に、まだあたし夢書いてないし」
「おいおーい」

リョーガはいつもあたしのこと見透かしてるみたいで、なんか悔しい。あたしはささっとリョ−ガの折り方を真似て紙飛行機を折って、遠くまで飛ばしてやった。

「あ、おいちゃんと書けって」
「ちゃんと書いたよ」
「え、いつの間に…ま、の夢なんて俺が叶えてやるよ」

ていうか、あんたにしか叶えられないのよ、知ってるでしょ?

”リョーガとずっと一緒にいられますように”なんて、見られたら恥ずかしいから、風に乗って、もっともっと遠くまで飛んでいけばいい















   

























06.07.31
あの歌っていうのは、19の”あの紙ヒコーキ くもり空わって”です
今の小中学生は知らないかな?
6年前だもんなー