「…はあっ…」

何度もキスをしていると、頭の芯がぼーっとしてくる。
くらくらして、ぼーっとして、何も考えられなくなる。

「…
「…?」

氷室はキスをするのをやめて、私の目をじっと見る。
熱っぽい、鋭い瞳。

「…氷室?」

私の名前を呼ぶだけで、その続きを話さない氷室。
名前を呼んでみると、氷室は何も言わないまま、また私にキスをする。
もう触れるだけのキスじゃ飽き足らないのか、深く深く口付ける。
氷室の舌は私の歯列をなぞって、舌を深く絡ませて、私の口内を犯していく。
キスだけでおかしくなってしまいそう。
ぎゅっと氷室の制服を掴むと、氷室は私を解放する。
離れていく唇が、寂しい。

「…

また、同じ。
氷室は切なげな声で、熱い瞳で私を呼ぶ。

「…どうしたの?」

そう聞くと、氷室は私を強く抱きしめた。

、どうしよう」
「…?」
「足りない」
「え…」
「キスだけじゃ、足りない。もっと欲しいんだ」
「…っ」

氷室の言葉に、心臓が跳ねる。
キスだけじゃ、ってことは。

「…氷室」
の、全部が欲しいよ」

…ここは学校で、今は授業中で。
お互いのことが好きだとわかったのはたった今。
常識的に考えて、ダメだ。

ダメなはずなのに、止まらない。

「…私も」

女の私がこんなことを言うなんて、はしたないのかもしれない。
でも、欲しいと思ってしまった。
離れていく唇が寂しい。キスだけじゃ足りない。
氷室が欲しい。氷室の全部が。


「…ふっ…」

氷室は荒々しく私を壁に押しつけてキスをする。
そのまま私の制服のボタンを一つ一つ外していった。
肌が外気に触れて、鳥肌が立つ。

「…んっ…」

氷室は私のブラジャーを捲り上げて、胸の頂点を指先でコロコロ転がす。
快感に体を跳ねさせると、氷室はもう一方の頂点に吸いういた。

「あっ…!」

体が震える。ゾクゾクする。
学校で、こんなところで、よくないってわかってるのに、気持ちいいと思ってしまう。
快感が止められない。止まらない。

「ひゃ…」

氷室の右手が私の太ももを撫で上げる。
それだけのことで、声が出てしまう。

、足開いて」
「…ん…」

言われるままに足を開くと、氷室は下着に手を掛けて、するりと床に落とした。
そのまま秘部に触れると、くちゅ`という水音が静かな教室に響いた。

「濡れてるね」
「…っ」
「可愛いよ」

氷室の言葉に思わず身を捩ると、氷室は私の頬にキスをした。

「あ…っ!」

氷室は私の右足を持ち上げると、秘部に指を一本挿入した。
氷室の指が中を蠢いて、今度は水音と、私の嬌声が教室に響きだす。

「あっ、ああっ…」
、力抜いて」
「んっ、あっ、無理…っ!」

こんな状況で力なんて抜けるはずもない。
首をふるふると横に振ると、氷室は少し眉を下げた。
するとさらに足を持ち上げられて、指がより一層奥に入ってくる。

「ふ、あっ…!やあ…っ!」

初めての感覚に頭がくらくらする。
誰にも触れられたことのない場所。自分でも触れたことのない場所。
奥をくちゅくちゅと弄られて、溢れだした愛液が氷室の指を伝っていく。

「すごいね。どんどん溢れてくる」
「あっ、ああっ…、ん…ひゃあ!?」

氷室の指がもう一本入ってきて、思わず背中を仰け反らせる。
中がきゅうっと締まって、氷室は眉を顰めた。

「…んっ、ああっ!あ…っ」

氷室の指は、私の中を優しく犯していく。
愛液が溢れて、それが私の腿を伝う感触にすら、もう耐えられない。
快感が止まらない。

、気持ちいいんだね?すごく濡れてる」
「…っ、やあ…」

羞恥で思わず首を横に振ると、氷室は口の端を少し上げた。

「じゃあ、これは?」
「あっ!や、ああっ!ダメ!」

指の腹で一番敏感な突起部分を強く押され、目を見開いて声を上げる。
強すぎる快感に、頭を振って耐えようとするけど、快感のほうが勝ってしまって、頭が真っ白になって行く。

「やあ…、やっ、ああっ、やめ…っ」
「嫌なの?ここはこんなに気持ちいいって言ってるのに」
「ダメ、ああっ、も…」
「もっと?」
「やあっ!ああ、はあ…っ、ああ…っ!」

氷室は陰核を弄る指を強め、中を犯す動きも緩めない。
もう、ダメだ。そう思った瞬間、目の前で何かが弾けた。

「あっ、ああ…!」

力が抜けて、足元から崩れ落ちそうになった体を氷室は優しく抱きかかえた。

「イっちゃったんだね」
「あ…」
、すごく可愛いよ」

そう優しく耳元で囁かれて、頭が溶けそうになる。
力の入らない体で氷室の制服にしがみついて、ぎゅっと抱きしめた。

、大丈夫?」
「ん、平気、だから…」

「全部が欲しい」と言って、これで終われるはずがない。
何より、終わらせてほしくない。

「…んっ…」

氷室は熱っぽい瞳で私を見て、それから、深いキスをする。
一度だけじゃなく、何度も、何度も。
苦しいはずなのに、やめないでほしいと思ってしまう。

…」

氷室は優しく私の名前を呼ぶと、私を抱き上げて教室の端にある長椅子まで連れて行く。
カーディガンを脱いで椅子に敷いて、私を横に寝かせる。

「…氷室」

氷室のシャツを掴んで名前を呼ぶと、氷室は私の頭を撫でる。

「怖い?」
「…ううん」

小さく首を振ると、氷室は優しく笑う。
後ろのポケットに入っていた財布から避妊具を出すと、自身を取り出してそれを装着する。

「…っ」

氷室が私の上に覆いかぶさる格好になって、少しだけ見つめ合う。
期待なのか、焦燥なのか、不安なのか。
自分でもわからない感情が駆け巡る。

…」
「…っあ、ああ…!」

氷室自身が、私の中に少しずつ入ってくる。
想像以上の圧迫感に、ぎゅっと目を閉じる。

、もっと足広げて…」
「…っ、あっ、はあ…」

言われるままにすると、氷室がぐっと奥まで入ってくる。
思わず背中を仰け反らせて、掴むものが欲しくて氷室の首に手を回す。

、平気?」
「…ん、大丈夫、だから…、続けて?」

少し痛くて、苦しいけど、やめないでほしくて。
目を細めてそう言うと、氷室は私にキスをする。

「…あっ、や、ああ…っ!ん、ああ!」

氷室が動くたび、秘部から蜜が溢れだして止まらなくなる。
段々痛みより苦しさより、快感のほうが強くなっていく。

、好きだよ」
「あっ、私も…、すき…、だよ…っ」
「うん、一緒だ」

好きだと言われると、胸の奥がきゅんとなる。
好きな人。好きで好きで仕方ない人が私を好きだと言ってくれて、私を求めてくれて。
夢なんじゃないかと思うけど、痺れるような快感が夢じゃないと教えてくれる。

「ひ、むろ、あ…っ!」
、名前で呼んで?」
「…っん、ああっ…」

回らない頭で必死に思考を巡らせる。
氷室の、名前。そうだ、名前。

「はあ…っ、辰也…」

一番好きな人の名前。
思いを込めて、精一杯名前を呼ぶ。

「……っ」
「あっ、や、ああっ!あん、そんな、激しく…!」

今まで優しく、確かめるように動いていたのが、堰を切ったように激しい動きに変わる。
抱きしめる腕に力を込める。

、ごめん」
「あっ、辰也…っ、ん、ああっ、や…っ」
「もう、優しくなんてできない」

言葉通り、辰也は強く激しく、私を犯していく。

「あっ、いい、いいの」
…」
「優しく、なんて…っ、しなくて、いいから、ああっ!」

優しくなんて、しなくていい。いっそ、壊してくれたっていい。
辰也なら、なんだって、いい。

っ…」
「ふ、ん…」

辰也は私の名前を呼ぶと、貪るように唇を押し付ける。
私も応えるように自分の舌を辰也のそれを絡ませた。

「あっ、やあ、あ、ん…っあっ!」
、好きだよ。すごく可愛い」
「ん、ああっ、私も、すき…、あっ!」

また、頭の中が真っ白になる感覚。
快感が体中を駆け巡って、きゅっと目を閉じた。

「辰也、…っ、私、も…、あっ、イっちゃう…!」
「いいよ、、イって」
「あっ、辰也…!」

ぎゅっと辰也に抱き着いて、言われるがまま、されるがまま、私は絶頂を達した。

「ふ、はあ…」

その後、辰也も私の中でイって、そのまま、また唇を合わせた。







「こんなところでごめんね」

服を着直して、隣りに座った辰也に抱き寄せられる。

「?」
「初めてなのに、こんなところでさ。もうちょっと雰囲気ある場所の方がよかっただろ」

辰也は私を抱き寄せた手で頭を優しく撫でる。

「いいよ、そんなの。その…嬉しかったし」

辰也の胸に寄りかかって、目を細める。
まあ、その…こんなところでとは思うけど、でも、それでも、嬉しい。



今度は触れるだけのキスをして、辰也は優しく私の名前を呼ぶ。

「あ…」
「携帯?」
「うん」

ポケットの中で携帯が震えたので、取り出して携帯を開くと友人から。

「あ…」
「どうしたの?」
「…友達から」

辰也に携帯の画面を見せてみる。
メールには「今どこ?大丈夫?」と書かれている。
ラブレターもらって、その場所に行って、帰ってこないなんて、心配して当然だ。

「サボっちゃったから…」
「じゃあ、6時間目もサボるって書いておきなよ」
「え…」
「行くの?授業」

もうすぐ、6時間目が始まる時間。
でも、確かに行く気はしない。気持ち的にも、その、…体の問題としても。

「…私、どっちかっていうと優等生の部類だと思ってたんだけど…」

体調が悪いわけでもないのに、2つも授業をサボっちゃうなんて。

「そうだね。こんなところでこんなことして、悪い子だ」
「…っ」

かあっと顔が赤くなる。
思い出すと、頭が沸騰しそうだ。

「も、もうその話あんまりしないで…」
「ええー…」
「だって…」
「嬉しかったって、言ってたじゃないか。オレだって同じだよ」

辰也は私をぎゅっと抱きしめる。
…うん、嬉しかったよ。でも、その、やっぱりちょっと恥ずかしい…。

「…、今日、一緒に帰ろう」
「う、うん」
「明日も、明後日も、ずっと。ずっと一緒にいよう」
「…うん」

これからは、ずっと、一緒。
胸の奥が熱くなる。
一番欲しかったものが、これからもずっとこの腕の中にある。





とらわれる
13.03.19

前にリクエストで書いた「溺れる」の続きです
あの話を書いた当時から裏書きたいなーと思ってましたが、人様のリクエストでそれもどうなの…と悶々としていて
でもやっぱり書きたいものを我慢したくないのでね!

あと初めてなのにつけないってどうよって思ったので、氷室さんなら財布に持ち歩いてるくらいのことはしてそうだよね〜ってことで財布から出してます





感想もらえるとやる気出ます!