冬の午後8時、今日は風が強くてとても寒い。だけどそれ以上に、 「お腹空いたね…」 「…ああ」 そう言ってリョーガと私は近くのコンビニに入って、肉まんを二つ買った。あったかい、というより熱い。 「どっか食べるとこある?」 「あの公園でいいだろ」 「寒くない?」 「俺は寒いより腹減ってんだ」 私も自分のお腹と相談してみたけど、確かに寒くても早く食べたいな。ということで、私たちは公園のベンチに座って、肉まんにかぶりついた。 「おいしいねぇ」 「ふぉうふぁな」 外で食べるのは寒くて嫌だなと思ったけど、肉まんの温かさとの差が結構いいかも。肉まんから湯気が立って、その湯気の行く先を見た。 「星が綺麗」 「あ?」 リョーガは私の言葉を聞いて、空を見上げた。きらきら、きらきら、星が光る。 「本当だ、すげーな」 「あれって北極星?」 「聞くな」 「じゃああれは?」 「俺は星はわかんねー」 「そっかあ、残念」 「肉まん冷えっぞ」 「え、あ、やだ!」 慌てて肉まんを食べて、飲み込んだ。リョーガはいつの間にか全部食べてしまっていた。 「リョーガ、星詳しくないの?」 「全然知らねぇ。お前は?」 「私もわかんない」 ベンチの背もたれに寄っかかって、目を細めて星を見る。あれはオリオン座?オリオン座って冬に見えるっけ?私星とか全然知らないんだなあ、と実感した。だけど、不思議と星を見るのは飽きなくて。 「面白いね、なんか」 「何が?」 「星とか全然わかんないのに、こうやって星を見るのは楽しいのがさ」 星座も星の名前もわからないのに、星を見るのは楽しい。何だか、それがすごく面白く感じた。 「これだけ綺麗だしな」 「ねー。ずっと見てたいね」 「…寒いけどな」 「…確かに」 星を見るのは楽しくて、いつまでも見ていたい。だけどさすがに寒さも限界だ。 「帰るか」 「ん、」 「何だ、まだ見てぇのか」 「…でも寒いから帰る」 「そうしろ、帰りながらでも星は見えるだろ」 リョーガは私の手を取って、歩き出す。上を見ながら歩いてると、転んでも知らねぇぞと言われたけど、私はそれでも空を見続けた。 「明日も晴れるといいね」 「そうだな」 明日もリョーガと一緒に星を見たいなぁと思った。 星空ワルツ 07.02.05 |