「った!?」


   突然頭に鈍い衝撃。頭の上にあるのは深司の手。所謂チョップをされたようだ。


   「何すんの!」

   「チョップ」

   「いや、それはわかるから。何でいきなりチョップ?」

   「が隙だらけだから」


   隙だらけだとチョップすんのかこの男は。男とも言い難い髪の毛してるくせに(うらやましい!)

   そんなことを思いつつ机の上のプリントに視線を移す。私は今、居残り勉強中。

   苦手な理科の授業、今日がプリントの提出日なのを忘れていて、理科が得意な深司に手伝ってもらっていたのだ。

   決して深司はチョップをするためにここにいるんじゃない。私を手伝うためにここにいるはず。

   なのに、また頭に痛み。いやそんなに痛くはないんだけど。


   「…またチョップ」

   「また隙だらけ」


   この人には何を言っても無駄だ、と思いまたプリントに手を移す。

   少し経って、目の端で深司の手が動くのが見えた。


   「はっ!真剣白羽取り!」

   「……」

   「えへへ〜そう何回もチョップされてたまるもんですか!」


   勝ち誇った顔で深司を見ていると、今度は深司の手じゃなくて顔が近づいてきて、唇に柔らかい感触が

   唇に 柔らかい 感触が ?


   「ちょ!」

   「隙だらけ」



   今度からは頭上以外にも注意を払おう。
























   07.06.07

   春夏秋冬企画様へ!