ダイゴさんと結婚する話・結婚式後

 結婚式、披露宴、そして二次会。長い一日が終わり、私とダイゴさんは式を行ったホテルへ戻ってきた。今日はゆっくりするために、このホテルに泊まる予定になっている。
「ふふ、さすがに疲れたかな」
 ソファで横になる私に、ダイゴさんが微笑みかける。彼の持つトレーにはカップが二つ。この香りは紅茶だろうか。私は起き上がり、ダイゴさんからカップを受け取った。
「でも、心地いい疲れだから」
 緊張もしたけれど、なによりも幸せな一日だった。疲れはもちろんあるけれど、その疲れも今は愛おしい。
「二次会も盛り上がっちゃったからね」
「ふふ、楽しかったですね」
 隣に座ったダイゴさんと、紅茶を飲みながら笑い合う。
 厳かな様相だった結婚式や披露宴と打って変わって、二次会は和やかな雰囲気に包まれていた。参加者もわたしやダイゴさんの友人ばかり、デボン関係の人間はほぼおらず、私も肩の力を抜いて楽しめた。ダイゴさんも二次会ではどこか安心したような笑みを浮かべており、彼も式の最中は緊張していただろうことを窺わせていた。
「みんなもお祝いしてくれて……」
 おめでとうと言ってくれた友人たちの笑顔を思い出す。幸せなひとときだった。そして、今もその幸せは続いている。
 私の左手の薬指にあるのは昨日までつけていたソリテールの婚約指輪ではない。ダイヤモンドが途切れることなく一周敷き詰められたフルエタニティの結婚指輪。隣に座るダイゴさんの指にも、お揃いの指輪が光っている。
「来週は新婚旅行だね」
「カロスかあ……楽しみだなあ」
 式から少し時間を置いた一週間後、私たちは新婚旅行を予定している。数ある旅行先の中から私たちが選んだのは美しい町並みのカロス地方だ。ダイゴさんと、ダイゴさんのポケモンたちと私のエネコとカロスを巡るのだ。
「世界一周もよかったけど、さすがに仕事があるからね」
「ふふ、ほかにも行きたいところ、私もたくさんあるから」
「ゆっくり行こう。これからずっと一緒にいるんだから」
 ダイゴさんが私の左手に自身の左手を重ねる。
 これから幸せなことだけではなく大変なこともあるだろう。うまくいかないこともあるだろう。でも、お互いを想う気持ちがあればきっと乗り越えていける。
 私たちは、どちらからともなくキスをした。
 これから先、私は世界で一番大切な人……ダイゴさんとともに、人生を歩んでいく。