「はあ、お腹いっぱい」 辰也は満足げな顔でベッドへとダイブする。 「ごちそうさま、おいしかった」 「ありがとう」 今日は辰也の誕生日だから、張り切ってごちそうをたくさん作ってしまった。 辰也はそれをペロリと平らげてしまったけど、やっぱり多すぎたかな。 「葵と翠からもプレゼントもらえるし…最高だな」 辰也は子供たちからもらった肩たたき券を見ながらほほえんだ。 葵は去年もくれたけど、翠からは初めてのプレゼントだ。 「ふふ、よかったね」 「すごく嬉しい…二人ともこんなことする年齢になったんだなあ」 辰也は感慨深い声でそう言った。 確かに、この間までハイハイしてたかと思ったのに、今は饒舌にしゃべり、毎日元気よく動き回っている。 「ね。嬉しいけど寂しいなあ…」 子供たちの成長は嬉しいけれど、少しもの悲しくもある。 この間生まれたばかりだと思っていたのに、もう6歳と3歳だ。 きっとこのままあっという間に大人になって、私と辰也の手を離れていくのだろう。 「」 「ん、大丈夫」 辰也は優しく私を抱き寄せてくれる。 寂しいけど嬉しいのも本当だし、なにより私には辰也がいる。 ずっとずっと一緒にいる、辰也が。 「もプレゼントありがとう。嬉しかった」 「ふふ、どうしたしまして」 「大切にするよ」 辰也は私にキスをする。 何度も何度も、繰り返し。 「ん…」 「」 辰也は私の名前を呼ぶのを合図に、私をベッドへと沈める。 「ね、?」 「ん?」 「翠がさ、弟か妹がほしいって」 辰也の言葉に面食らってしまう。 弟か妹、って。 「オレもほしい。…大変かな?」 辰也は心配そうに私の表情を窺う。 子育てとなるとどうしても身体的な負担は私の方が大きくなる。 それを心配してくれているのだろう。 「大丈夫」 「本当?」 「うん、私ももう一人ほしいなって思ってたの」 葵と翠だけでてんてこまいになっているけど、それでも、やっぱり「もう一人」って思ってしまう。 私も辰也も欲張りだ。 「やった」 「きゃっ!」 辰也はぎゅーっと私を抱きしめる。 もう、これじゃすでに子供が三人いるみたいだ。 「もう、よしよし」 「、愛してる」 「私も」 辰也は私にキスをする。 優しくて温かいキスだ。 「辰也、誕生日おめでとう」 「ありがとう」 そう言って、私たちはお互い幸せに沈んでいく。 今夜も、これからもずっと。 今日も明日も明後日も ← 15.10.30 ハッピーバースデー! 感想もらえるとやる気出ます! |