*ヒロインの誕生日話です
*季節・日付はお好きなもので妄想してください






『あ、もうすぐ12時だね』

真夜中、辰也と電話中、辰也が会話を切ってふと呟く。
いつもはこんなに遅くまで電話しないけど、今日は特別だ。

、誕生日おめでとう』

0時になった瞬間、辰也の声が耳元に響く。
今日は私の誕生日だ。

「ふふ、ありがとう」
が産まれた日だ。一年で一番素敵な日だね』
「そ、そこまで言わなくても…」
『本当のことだろ?』

辰也の言葉に頬を赤く染める。
辰也は今日も相変わらずだ。

『名残惜しいけど、そろそろ寝ようか』
「うん」
『明日、部活後オレの部屋でお祝いしよう』
「うん!ありがとう」
『じゃあ、おやすみ。いい夢を』
「おやすみなさい。辰也もね」

そう言って、幸せな気分に浸りながら眠りについた。
今年も素敵な誕生日になりそうだ。





、誕生日おめでとう〜」
「わ、ありがとー!」

昼休み、お弁当を食べ終えると友人たちがプレゼントをくれた。
髪飾りや鏡等々、どれも素敵なものばかりだ。

「ありがとう」
「また一つ大人になったね〜」
「…なんか言い方いやらしくない?」
「気のせい気のせい!」

怪訝な目で友人を見つめながら、もらったプレゼントを大切に鞄にしまった。

「今日は部活なの?」
「部活あるけど、ミーティングだけだから」
「じゃあ氷室くんとお祝いするんだ?」
「う、うん。まあ」
「いいなー、私も彼氏に誕生日祝ってもらいたい〜」
「あはは」

そんな会話をしながら、楽しい昼休みは過ぎていく。






「お疲れ様でしたー」
「お疲れ」

今日の部活はミーティングだけ。
早々に帰宅の支度を整えて、辰也と二人で部室から出ようとする。

「あれ、二人とも早いね〜」

敦が私たちの姿を見て、お菓子を食べながら呟いた。

「今日はの誕生日だから」
「そうなの?おめでと〜。これあげるよ」

敦はもぞもぞと鞄からまいう棒を出すと、私に一本渡してくる。

「わ、ありがと」
「それおいしいよ。おすすめ〜」
「ふふ」
誕生日アルか。おめでとうアル」
「劉、ありがとう」

辰也の言葉に気付いた部員が口々にお祝いの言葉をくれる。
こんなにたくさんの人にお祝いされたのは小学校のときクラスでお祝い会をやった以来だ。
少し照れくさいけど、嬉しいな。






、誕生日おめでとう」
「ありがとう」

帰り道、ショートケーキを2ピース買ってきて、辰也の部屋の机に並べる。
ホールケーキじゃないから1本だけ蝋燭をさして、吹き消した。

「気に入ってくれるといいんだけど」

辰也は可愛らしいピンクのラッピングの箱を差し出す。
辰也はそう言うけど、辰也が選んだものなんだから素敵なものに決まってる。

「ありがとう。あ、ポーチだ」
「うん」
「可愛いね。ありがとう」

シンプルで、でも地味すぎないセンスのいい作り。
大切にしよう。
そうだ、今日友達からもらった鏡も入りそうだ。

「わっ」


辰也は私のおでこにキスをする。
そのまま、瞼、鼻、頬、段々降りてきて唇に達する。

「ん…」
「ね、今日は遅くまでいられる?」

辰也は色っぽい目で聞いてくる。
私は笑って答えた。

「今日は駄目だよ。お母さんがごちそう作って待っててくれてるの」

にっこり笑って答えると、辰也は目を丸くした。
その後、優しく笑って私の頭を柔らかく撫でた。

「相手がご家族じゃ敵わないな」
「ふふ」
「じゃあ、遅くならないようにしよう」

そう言いながらも辰也はキスをやめない。
遅くならないように、でもいっぱい愛してね。

「辰也」

辰也の胸に飛び込む。
ドキドキと、辰也の心臓の鼓動が聞こえる。

「…いつか、家族になろうね」

家族じゃ敵わないと辰也は言う。
私にとって家族はとても大切で大好きな存在で、辰也ともそうなれたらいいなって思うよ。

「もちろん」

辰也は私をぎゅっと抱きしめて、もう一度キスをする。
さっきよりも、ずっとずっと熱いキス。

…」
「ん…」

ぎゅっと幸せが胸に広がっていく。
今日になった瞬間から一番大切な人にお祝いされて、友達、部の仲間、それに家族も私の誕生日を祝ってくれる。

きっと私は今この瞬間、世界で一番の幸せ者だ。















ハッピーバースデー!
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14.11.28



10周年リクエスト企画のラフメイカー番外編!
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