12月にもなると、町はクリスマスムード一色だ。
うちの学校もミッション系だから、クリスマスにはちょっとした行事がある。


「お、クリスマスツリー」

部室に入ってきた福井先輩が机の上の小さなクリスマスツリーを見てそう呟く。

「これ、が買ってきたのか?」
「はい。せめて雰囲気だけでもと思って」
「あー、オレらクリスマスとかなんもできねーからな」

そう。WCの日程はクリスマスとかぶってしまっている。
…残念だけど、仕方ない。

「まーこればっかりはバスケ部員の宿命だからな。ふつうにクリスマスできたらできたで悲しいって言う。残念だったな」
「…」
「なんだよ」
「いや、福井先輩、なんか楽しそうな顔なので…」
「そりゃな。お前とかはちょっと可哀想だと思うけど氷室に関してはざまあみやがれと思ってるわ」
「…もう」

福井先輩の言葉に苦笑する。
…クリスマス、か。





「部室のクリスマスツリー、が飾ったの?」
「うん」

その日の帰り道、辰也と手を繋いで一緒に帰る。
自然と話題はクリスマスのことに。

「クリスマスなんだけどさ」
「…うん」
「当日は何もできないし…少し前に、何かしようか?」
「うん、やりたい!」

クリスマス前なら周りもクリスマスムードだし、ケーキなんかも売ってるだろう。
当日できないのは残念だけど、一緒にはいられるし。

「じゃあ、この日ね」
「うん!」

辰也はそう言って携帯のスケジュールに印を付ける。
クリスマス直前の土曜日だ。

…楽しみだな。







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13.11.22