期末テストも無事終了。
ウィンターカップまで、あと少し。

「…よしっ」

明日は辰也とクリスマス。
当日までまだ間があるけど…仕方ない、バスケ部員の宿命だ。
当日に二人きりだったら、それはWCに行けないってことだし、そんなのは嫌だ。

クリスマスプレゼントを用意して、ベッドに入る。
明日も部活はある。
早めに寝て、明日に備えよう。

「…おやすみなさい」

…少し興奮してる。
恋人と、辰也と初めてのクリスマスだ。
小さいころ、サンタさんを楽しみにしすぎて眠れないなんてこともあったっけ。

そんなことを思い出しながら、目を閉じた。





「メリークリスマス!」

部活が終わり、ケーキを買ってきて辰也の部屋で小さなクリスマスパーティだ。
ブッシュドノエルを切り分けて、乾杯だ。

「っ!」
「ふふ」

さて、ケーキを食べよう!
そう思ってフォークを取ろうとすると、辰也が私の肩を抱き寄せてくる。
そのまま、唇にキスをする。

「た、辰也」

辰也はずいぶんと色っぽい顔をしている。
これは、間違いなく「そういうこと」直行コースだ。

いや、クリスマスだし、恋人同士なんだし、それはまあ、構わないんだけど。
でも、その前に。

「ん?」
「プレゼントあるから、ね?」

そう言って辰也から少し顔を離す。
たくさん迷って決めた、プレゼントだ。

がプレゼント?」
「な…っ!」

思わず辰也を叩く。
ば、バカ!

「いたっ、冗談だよ」
「バカ!」
「ごめんごめん」

辰也は笑いながら私の頭を撫でる。
…もう!

「これで機嫌直して?」

頬を膨らませていると、どこから出したのか、辰也が綺麗にラッピングされた箱を差し出してくる。
胸が高鳴る。
淡いピンク色の、細長い箱。

「ありがとう…」
「うん」
「あ、えっと…開けていい?」
「もちろん」

ドキドキしながら、包装を丁寧にほどいて行く。
箱の中には、小さな丸い飾りのついたペンダント。

「…可愛い」
に似合うと思って」
「ありがとう…」

なんだか、涙が出そうだ。
…すごく、嬉しい。
好きな人にもらうプレゼントが、こんなにも嬉しいなんて。

「つ、つけてもいい?」
「うん」

そう言って箱からペンダントを出そうとすると、辰也が先にそれを取ってしまう。

「もうちょっとこっち来て」

あ、これは。
理解した私は、辰也の方に体を詰める。

辰也は前から私の首に手を回す。
抱きしめられているような形だ。

「ん…」
「ああ、ごめん。冷たい?」
「ううん、平気」

辰也の冷たい指が首に触れる。
ひんやりした感触に、少し体が跳ねる。

「できた」

辰也が体を離して私の鎖骨の辺りを撫でる。

「うん、似合ってる」

自分でもペンダントトップを触って確かめる。
そうしたら辰也がぎゅっと抱きしめてくる。

「わっ!?」
「すごく可愛い。思った通りだ」

苦しいくらい強い力で抱きしめられる。
辰也もすごく嬉しそうだ。

「辰也、辰也」
「ん?」
「私も見たい」
「ああ、そっか」

自分でも付けたところを見てみたい。
惜しいけど辰也に体を離してもらって、鞄から鏡を出す。

「…かわいい…」
「うん。は可愛いから、何を付けても似合うよ」
「そ、そうじゃなくて」

辰也はセンスがいいなあ。
凄くシンプルで、でも可愛くて、優しいイメージだ。

「…ありがとう。すごく嬉しい」

胸の奥がじんわり暖かくなる。
本当に嬉しい。
一生、大切にしよう。



辰也は優しく私にキスをする。
心臓が跳ねるようなドキドキではなくて、優しくて、甘くて、心地いい。

「辰也、私もね、プレゼントあるの」
「うん」

そう言って鞄からプレゼントを取り出す。
ドキドキしながら、辰也に渡す。

「開けるね」
「うん」
「手袋だ」

クリスマスプレゼントは手袋にした。
辰也はちょくちょく「秋田って寒いな…」と零していたし、誕生日プレゼントと同じく暖かいものにした。

「あったかいな」
「うん。こっち寒いし、暖かいものがいいかなって」
「ありがとう」

辰也は手袋を見つめた後、今度はおでこにキスをする。
辰也も嬉しそうな顔だ。
…喜んでくれて、よかった。


「うん」
「可愛い」
「ありがとう」
「…ねえ、やっぱり」
「?」
「もう一個、プレゼント欲しいな」

辰也は自分のおでこと私のおでこを合わせる。
期待するような瞳だ。

「…もう?」
「早い?」
「…まだケーキ全然食べてないよ」
「冷蔵庫に入れておけば大丈夫だよ」
「…もう」

苦笑して、辰也にキスをする。
まったく、辰也は。

「絶対後で食べるからね」
「もちろん」
「…じゃあ、いいよ。あげる」

ぎゅっと辰也を抱きしめる。


少し早い、クリスマスプレゼントだ。








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13.12.06