6時間目の授業が30分ほど過ぎたころ。
もうすぐ授業が終わり!とみんなそわそわし始めている。
そういう私も同じく、さっきから時計をちらちら見ては授業終了までのカウントダウンをしていた。

そんなとき、隣の席の氷室が私の机の上に可愛く折られたルーズリーフを置いた。
あ、多分友達の手紙を回してくれたんだな、と思いつつ開く。
書かれていたのは、要約すると、
今度例の人とデートすることになったということ、私の方も進展あったら教えなさいということ。

進展、か…。

ちらっと横目で氷室を見る。
進展、進展ね…。

あれから氷室と毎日一緒に帰ってる。
氷室の部活が終わるまで待って、そのまま一緒に帰って。
うん、それだけ。2週間、一緒に帰るだけ。
別に不満があるわけじゃない。
というか寧ろ私は今の状態でいっぱいいっぱいだ。

友人への返事には「デートの報告よろしく」ということと、「進展はこの間話した以上のことはありません!」と書いた。

いつものように氷室に手紙を渡して回してもらう。
最初は氷室のことを書いた手紙を氷室に回してもらうのに抵抗があったけど、慣れというのは怖いもの。
すっかり慣れてしまった。

いつものように手紙を回してくれる氷室に、口パクで「ありがと」と言った。





「またやってたね、手紙」

部活が終わり、帰り道。
氷室がふとつぶやいた。

「また女子トーク?」
「うん、まあ、そんな感じだけど…氷室それ好きだね」
「じゃあ、さっきの手紙でも俺の話してたの?」
「えっ!?」
「だって、の好きな人はオレだろ?」

氷室は優しく笑ってそう言った。
うん、そう。間違いなくそう。

「そ、それはそうだけど…」
「じゃあ、あんまり変なことできないな」
「べ、別に氷室とのこと全部報告してるわけじゃないよ!」
「そう?」
「そりゃそうだよ」

報告することが少ないってのもあるけど、氷室とのあれこれ全部報告するわけはない。

「じゃあ、このことも言わないでくれる?」
「え?」

なんのこと、と聞く前に、氷室の唇に唇をふさがれた。

「なっ…」
「これは、二人だけの秘密で」

「進展があったら報告しろ」という友人との約束を破ることになってしまった。
ごめんね、と心の中で思いつつ、二人だけの秘密に少し心が躍っている。


























シークレットトーク
120623

拍手で「ガールズトークの続編が読みたい」とあったので書いてみました。
コメントくださった方ありがとうございました!


ガールズトーク