クリスマスが終わり、世間はすっかり元旦ムード。
そんな中私が見たい映画を見て、食べたいケーキを買って、辰也の部屋でシンプルなクリスマスパーティだ。

「おかわりは?」
「いる!」

やっぱり無理にでもクリスマス前にやっちゃったほうがよかったかなあ、と思ったりもしたけど、ケーキ安かったしまあいいや。
そう思いながら注いでもらったオレンジジュースを飲む。

、楽しい?」
「うん」
「よかった」

辰也は私の頭を撫でて微笑む。

「寂しい思いさせて、ごめんね」
「辰也が謝ることじゃないでしょ。それにもういいや」
「?」

あんなに一緒にクリスマスを過ごせないのが寂しいと思っていたのに、もういいかなと思ってる。
別に12月24日じゃなくても、辰也といられればそれが幸せだから。
辰也に気を使ってるわけじゃなく、純粋にそう思う。

「わがままも聞いてもらったし」

私の見たい映画に食べたいケーキ、小さいけれどわがままを通してもらった。

「それだけでいいの?」
「?」
「言ってただろ、電話で」
「もういっぱい聞いてるよ」

あのとき言ったわがまま。
「辰也の声が聞きたい」は、もう十分すぎるぐらい叶ってる。


「ん?」
「オレも一つだけいい?」

辰也の部活が原因とはいえ、寂しい思いをしたのは一緒。
そりゃ辰也のわがままも聞いてあげなくちゃ。

「オレもの声が聞きたい」
「…もうたくさん喋ってるけど?」
「そういう意味じゃないよ。わかるだろ?」

辰也はそう言うと私を抱き寄せてキスをする。
ああ、そういう意味。

「…言ったじゃない。それ、わがままにならないよ」

だって私だって同じことを考えていた。
それじゃわがままになんてならない。

「そう?嬉しいな。じゃあ後で一個、ほかにわがまま聞いてもらおう」
「…変なこと言わないでね?」
「どうかな?」

辰也は、さっきと違って楽しそうに笑うと、私の耳元でささやいた。

「メリークリスマス」

電話越しじゃない、直に聞こえる声が私の頭に響いて、私はまた泣いてしまった。




















メリークリスマス
12.12.24

せっかくのクリスマスなのに切ないだけで終わるのも可哀相なんで短いけど後日談
メリークリスマス!

前→電話越しの






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