「え?最後までいてくれるんか?」 「すっげー助かるけど、マジでいいの?」 岡村先輩と福井先輩に「最後までいます」と伝えたところ、案の定そんな答えが返ってきた。 実際大変なんだろうけど、それでも決めたのだ。 昨日も思ったけど、バスケ部の人たちは真剣に部活をやっている。 本当に、信じられないぐらいに。 頼まれたからやっているとはいえ、だったら私も真剣にやらなきゃいけないんじゃないかなあと、そう思ったのだ。 明日も、遅れてきていいよと言われたけどちゃんと始めから来よう。 * 「んじゃ、今日の練習は終わりな」 「お疲れ様でしたー」 主将の掛け声で部員たちは一斉に上がる。 私にとっても長い一日が終わった。 「ふう…」 校門へ向かうとそこにはちょうど校門を出るところなのか、氷室がいた。 「あ、。帰るところ?」 「うん。私電車だけど、氷室は?」 「ああ、オレも」 ということは帰り道が一緒ということ。 特に何も言わず並んで駅までの道を歩きはじめた。 「ごめんね、なんか本当に巻き込んだ感じになっちゃって」 「いや、それは本当いいよ。大丈夫」 「本当?」 「うん……あ」 …そこまで言ってくれるなら、ちょっと頼ってもいいだろうか。 「あの、もしよかったらなんだけど」 「なに?」 「バスケのルール教えてくれない?」 * ということで、場所は地元の駅前のファミレス。 氷室と私の地元の駅が同じということで、ここまでやってきた。 本屋で買ってきたバスケ教本を読みつつ、氷室にいろいろ教えてもらう。 バスケの知識は授業でやってたし全くないわけじゃないけど、詳しくもない。 これを機にちゃんと覚えよう。 「オフェンスは24秒以内にシュートしないといけなくて…」 「へえ…」 授業じゃやらないこともいろいろ出てくる。 それなりに知ってるつもりだったけど、そんなことなかったんだな。 「はー、結構ルールいっぱいあるんだね」 「そうだね、まあ、でもそんなに複雑じゃないから」 「うん、これならそんなに覚えるの大変じゃないかも」 「真面目だね」 「えっ?」 氷室はまじまじと私の目を見て言った。 「だって、ほとんど無理矢理頼まれてやってることなのに、明日からは一日中やってくれるっていうし、 今はこんなふうにルールの勉強までしてる。すごいことだと思うよ」 「まあ、みんなが真面目に部活してるの見たらね。いい加減にやったら失礼だと思って」 「そう言ってくれるとありがたいな」 「そう?」 「がマネージャーにいいんじゃないかって言ってのオレだし、が本当に真面目にやってくれるのは嬉しいよ」 そう言われるとこっちも嬉しくなる。 まだ始めたばかりだけど、受けてよかったかなと思える。 「それじゃもう出ようか。もう遅いし」 「あ、本当だ。あー…まだ聞きたいことあったんだけどなあ」 「じゃあ、明日も教えるよ」 「いいの?」 「お安い御用だよ」 ← top → 12.08.10 |