今日の練習は早めに終わった。
せっかくだから今日はゆっくり家で休もう。
そう思って早めに学校を出た。

「お」

前を歩くのは氷室と
手を繋いでのんびり歩いて帰ってる。
いいねえ、若いねえ。
なんだかんだ言ってたけど、やっぱりあの二人付き合ってんだな。

そんなふうに思いつつ、歩く足を速める。
二人はゆっくり歩いているから追い越しちまおう。

「………」

そう思っていたら、衝撃の瞬間を見ちまった。
キスしやがった…。

「おい」
「わっ!?」

思わず話しかけると、は驚いた声を上げる。

「ふ、福井先輩…」
「お前ら、ここ公道だからな…」

そう言えばはカーッと顔を赤くする。

「お前なあ…」
「オレですか?」

氷室を横目で見れば、何の話?と言わんばかりにオレを見る。
いやいやいや、どう考えてもお前がしたんだろ…。

「いい加減にしてやれよ…が可哀相だろ?」
「そうですか?」
「おい」

思わず突っ込みを入れると、氷室はにっこり笑ってこう言った。

だって、本当は喜んでますよ」

そう言うと、は赤かった顔をさらに真っ赤にさせて、叫んだ。

「氷室のバカ!」

は早足で駆けて行ってしまった。
本当、こいつ…。

「氷室…」
「なんですか?」
「オレマジでが不憫になってきた」
「そんなことないですよ」

氷室はそう言うと早足での方へ向かった。
あっという間にに追い付くと、また何か言い合ってるようだけど、結局の頭を撫でられて丸め込まれているようだ。

「………」

…なんつーか、もう、勝手にやってろ…。

「はあ…」

ため息を吐きながら、曲り道を右に曲がる。
追い越しにくくなってしまったので、寄り道でもして行こう。

「………」

しかし、、顔真っ赤だったけど、幸せそうな顔だったなあ。
だけじゃなく、氷室もか。
ああいうの見てると、オレもなんでもいいから彼女欲しいな…と思うけど、そうじゃねーなと。
好きな奴がいて、それからそいつと付き合いたいと思うのが正しい順番だよなと。

そんなふうに思いながら自販機に向かった。















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13.01.25