三ヶ月間、こんな感じだ。
私の当番の日、どうやらバスケ部も練習が休みのようで、花宮は図書室にやってきてた閉室の時間まで本を読んで、私と一緒に帰って行く。
特に何か会話するわけではない。
ただ、一緒にいるだけ。

途中、バスケ部の噂も聞いた。
あまり評判がよくないこと、でも優等生だから、ということで偶然なんだろうとされていること。
それを聞いて、ああ、花宮の「便利」というのはこれのことかな、と思った。

でもそれもどうでもよかった。
花宮は私に対して随分優しいようだったから。


あれはいつだっけ、二ヶ月くらい前だろうか。
いつものように図書室で本を読んで、一緒に帰って。

その次の日。
同じクラスの原に話しかけられた。

「あんた花宮と付き合ってんの?趣味悪」
「は?」

突然の言葉に目を丸くする。
…付き合ってないんですけど。

「違うの?」
「違うよ」
「…ふーん。なのにわざわざ送ってもらってんの?」
「え?」
「え?」
「…送ってもらってないけど」
「…だって、花宮家逆じゃん」
「……」

つまり、花宮は私のことを送っていたのか。
何も言わないから、花宮の家が私の家の先にあるものだと。

「珍しいねえ、花宮が最初っから素で、しかもそんなことするなんて」