「……」
「……」

そして今日もまた、花宮と一緒に本を読んで、一緒に帰る。

「…くしゅっ」

寒くなってきた。
くしゃみをすると、花宮がマフラーを投げてきた。

「……」

何も言わないけど、多分着ろと言うことなんだろう。
…確かに、優しいというか。
花宮は、なんなんだろう。何がしたいんだろう。

花宮のつけていたマフラーを巻く。
…暖かい。

「……」
「……」

また、何も話さない。
何も話さず、隣を歩いて行く。

「……」

もう少しで私の家に着く。
挨拶もせず、私たちは別れる。