「…ん」

ゆっくり目を開ける。
目の前には、辰也がいる。

「あ、ごめん起こしちゃった?」
「…?」

辰也が謝って来るけど、寝起きのせいかうまく頭が働かない。
なんで謝ってるんだろう。

「髪、撫でてたから。起こしちゃったかなって」

辰也は私の頭を撫でる。
そういうことか。

「大丈夫だよ」
「そう。の髪は綺麗だね」
「辰也こそ」

辰也は私の髪を梳きながらそう言うけど、辰也こそ綺麗な髪だ。
サラサラで、まっすぐで、うらやましいぐらい。

「辰也の髪、触ってて気持ちいいの」

辰也の髪を梳く。
私より大分短いから、梳くとすぐに毛先にいってしまうのが残念だ。

「髪だけ?」

辰也は薄く笑ってそう聞いてくる。

「…意地悪」

そう言って手を引っ込める。
そんな質問、意地悪だ。

「ごめんね。が可愛いから、つい」
「…もう」

辰也は私の上に覆いかぶさる。

「もっと気持ちよくしてあげる」

辰也が私にキスを落とす。
辰也の前髪が私の額に落ちる。

くすぐったい、な。













触れる髪
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14.07.11