今日は始業式。
今日から私たちは高校3年生だ。


「あ、辰也。おはよう」

校門で同じく登校してきた辰也と会う。
特に何かが変わったわけではないけど、新年度というのは少しピリッとした空気だと感じる。

「あ、クラス分け配布されてるよ」

先生が昇降口近くでクラス分けが印刷されたプリントを配布している。
ドキドキしながら受け取った。

「あ…」

プリントを見て、ショックを受ける。
辰也と同じクラスだったら、って思ったけど、残念ながら隣のクラスだ。

「違うクラスになっちゃったね」
「…そうだね」
「あ、でも隣なら結構授業一緒になるよね!」

3年生は選択授業も多い。
選択科目が同じなら一緒の授業になることも少なくないはずだ。

「2年の時ほど授業も多くないから、同じクラスじゃなくてもそんなに…」

必死にそう言うと、辰也はふっと笑った。


「は、はい」
「寂しいね」

私が言えなかったことを、辰也に言われる。
胸の奥が締め付けられる。
私も、すごく寂しい。

「劉もと同じクラスか…」

辰也はプリントを見ながら呟く。
確かに、私と同じクラスの欄に劉の名前がある。

「……」
「辰也?」
「いや、なんでもないよ。行こうか」
「うん」

そう言って辰也とともに教室へ向かった。





教室の前で辰也と別れて、自分のクラスに入る。
見渡すと、友人は先に席に座っていたようだ。

「あ、ー。また同じクラスだね」
「うん!」

辰也とは別れてしまったけど、友達とは今年も同じクラスだ。

「氷室くんとは隣のクラスだね」
「うん…」
「ちょっとー、あんまり寂しがらないでよ!私たちがいるんだから」
「あはは。寂しくないよ」

辰也と離れてしまったのは本当に寂しいけど、友達と一緒のクラスなのは嬉しい。
残り一年、たくさん思い出を作ろう。

「あれ、劉。おはよう」
「おはようアル」

前のドアから劉が入ってくる。
劉は私の顔を見ると大きなため息を吐いた。

「…どうしたの?」
「氷室からさっきメールが来たアル」

劉はずいっと携帯を私の前に出す。
手に取って画面を見てみると、メールの画面だ。
送信者は辰也。

に近付く男がいたらすぐに知らせてくれよ』

絵文字も顔文字もない、シンプルな文面。
その一文を見てうなだれた。

「…辰也……」
「あいつどうしようもないアル」
「なんか、ごめんね…」








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14.12.12