新年。
今年も初詣は辰也と一緒に行く約束だ。
待ち合わせ場所の家の近くの公園に向かうと、すでに辰也は来ていた。

「辰也、お待たせ」
。今年も振袖だ!」

辰也は私を見つけるやいなや、キラキラと目を輝かせて駆けより私の振袖に触れる。

「うん、一年ぶり」

去年、お母さんから借りた振袖を来て初詣に行ったら、あんまりにも辰也が嬉しそうだったので、今年も借りることにしたのだ。
想像通り辰也が喜んでくれてよかった。

は今年も可愛いな。毎日どんどん可愛くなる」
「た、辰也……」

辰也の言葉にかあっと熱くなる。
臆面なくそう言う辰也こそ、今年も変わらずどころか、毎日そういう面で進化している気がする…。

「赤くなった顔も可愛い」
「わっ」

辰也は嬉しそうに笑うと、私をぎゅっと抱きしめる。
またこんな外で、と文句を言う前に辰也の体温にぎょっとする。

「た、辰也冷たい!大丈夫!?」

触れた辰也の肌はひんやりと冷え切っていて、思わず声を上げてしまう。
一体いつから外で待っていたのだろう。

「大丈夫じゃないから、あっためて」
「た、辰也、もう…」

ちょっと眉を下げてそう言われれば、私は辰也の言う通りにするしかない。
周りには誰もいないし、ぎゅっと辰也を抱きしめる。

はあったかいな」
「辰也が冷たいんだよ…すぐ冷えちゃうんだから」
にあっためてもらうために冷たくなるのかも」
「もう」

その場でしばらく抱きしめ合った後、私たちは手を繋いで神社へ向かって歩き出した。
その途中で、まだ言っていない言葉があることを思い出した。

「辰也」
「ん?」
「あけましておめでとう。今年もよろしくね」

年が明けてすぐに電話でも話したけれど、やっぱりちゃんと顔を見て言いたい。
去年は辰也とずっと一緒にいて、本当に幸せだった。

「ああ、そうだ。まだ言ってなかったね。あけましておめでとう。今年も大好きだよ」

辰也は私の髪にキスをすると、優しく微笑む。
その甘い表情だけで、今年もずっと幸せでいられると思える。





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16.10.30