トモコレ…トモダチコレクションという3DSのゲーム
自分や家族、友達そっくりのMii(アバター)を作って、そのMiiたちの様子を観察するゲームです
Miiたちは友達になったり喧嘩したり恋人同士になったり結婚して子供を産んだりします
紫原がそのゲームをやっていたら、というお話





「あ、劉がちんに告白しようとしてる」
「は!?」

部室で敦が突然そんなことをいうもんだから、その場にいたオレと岡村と劉が吹き出す。

「劉…そんな自ら命を捨てるようなことを…」
「いやいやいやそんなことするわけないアル。まだ死にたくないアル。そもそも好きじゃないアル」
「だってほら、『のことが好きです 告白したいのですが…』って言ってるよ」

そう言って敦が見せて来たのはゲームの画面。
ああ、なんだ、ゲームの話か。

「?なにアルかこのゲーム」
「みんなのこと作ってね〜遊ぶ」
「???」

劉は訳がわからないという顔をするので、オレと岡村で簡単に説明をする。

「へ〜そんなゲームしてるアルか」
「うん。じゃあ告白させるね」
「いやいやいや!やめるアル!」
「ゲームの中の話じゃーん」
「そうそう。別にゲームなんだし氷室もさ」
「氷室はゲームの中だろうと関係ないアル。万が一付き合うことにでもなったりしたら…ワタシ…まだ死にたくないアル…」

…確かに、氷室にはゲームの中とか関係なさそうだよな…。

「大丈夫だよ〜付き合うことないから」
「え?」
ちん、もう室ちんと結婚してるもーん」

ほら、と言って敦はゲーム画面を見せる(結局劉には告白させなかったようだ)
確かに…氷室の友人関係の欄には「妻 」となっている。

「早く子供産まれないかな〜」
「なにやってるの?」

そう言ってと氷室が部室にやってくる。

「あれ、敦、ゲーム?」
「うん。これちんだよー」
「わ、本当だ」

敦はと氷室にゲーム画面を見せる。

「ああ、これCMやってるやつだろ?」
「うん。これは室ちん」
「わ、すごい…」
ちんと室ちんは結婚してるんだよー」

敦がそう言うと、の顔はポッと赤くなった。

「え?え?」
「この間室ちんがプロポーズしてねー」
「それ見たかったな」

は赤くなって黙り込む一方で、氷室は嬉しそうにニコニコしてる。
…やっぱ、劉は告白しなくてよかったな。くっつかなくても、告白しただけでやばそうだ。

「…あれ、私、ハートマーク出てる」
「本当だー吹き出しタッチしてみて」
「うん」

は言われたままにタッチする。

『わたしと辰也の間に子供がいたら…と考えることがあります…』

のキャラがそう言うのを聞いて、その場に一瞬沈黙が流れる。

、オレ頑張るよ」
「が、頑張るって何を!?」
「わーやっと産まれる〜楽しみー」
「た、楽しみって」
ちん、男の子と女の子どっちがいい?」
「えっ!?」
「あと名前とねー、性格は室ちん似かちん似どっちがいいかも決めてねー」
はどっちがいい?」
「え、ええ!?」

氷室は顔色一つ変えずにそう聞く。
…顔色一つ変えず、ってのは違うな。
楽しそうだ。

「オレは健康に産まれてくれたらどっちでもいいな」
「そ、それは、まあ、そうだけど」
に似た子がいいな」
「え、えーと…あ、敦、他のみんなも作ってないの?」

は話を変えようと思ったんだろう。敦にそう聞く。

「みんないるよ。はい」
「あ、本当だ…敦可愛いね」
「可愛いは心外ー」

はゲームを少しやってみているようだ。
効果音が部室に響く。

「いろいろできるんだね…歌も歌わせられるの?」
「うん、あとモテランキングとかあるよー」
「そんなのあるの?」
「うん。ほらここ。室ちん1位でしょ」

さすが氷室…。

「なあなあ、岡村は?」
「最下位」
「うおおおおっ!?」
「うわすげー。リアルだなこのゲーム」

敦のゲームをやってみる。
確かに「モテランキング」で岡村は最下位だ。

「しかもポイント、マイナスじゃねえか」
「うおお…ゲームでくらいモテたい…」
「お?なんか鳴ってるぞ」

ゲームから呼び出し音みたいな音が鳴るので、敦に渡す。

「あ、ちんだ」
「?」
「ほら、子供生まれたってー」
「え!?」

みんなでゲーム画面に食いつく。
が赤ちゃんを抱っこしてる画面だ。

「現実ではいつになるかな〜」
「え?!」
「赤ちゃん出来たらちゃんと教えてねー」

敦にそう言われ、は顔を真っ赤にする。

「それより結婚が先だろ」
「そうだよね〜ちゃんと式には呼んでよね」
「楽しみアル」
「え、え…」
「ちょっと、のこといじめないでください」

そう言って氷室は赤くなったを自分の方に引き寄せる。

「いつもいじめてんのお前だろ…」
「だからですよ」
「………」









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13.08.08