月曜日。 一番後ろの席からと中山を眺める。 中山が教科書を忘れたようで、机をくっつけての教科書を二人で見ている。 …本当に忘れたんだろうか。 そう邪推したくもなる。 だって授業中にも関わらず、あんな顔でを見つめて。 教科書を見せてもらってるからって、やたらの席に近づくし、今すぐ殴り飛ばしに行きたいぐらいだ。 当のは、ノートを取るのに必死で、まったく気付いていないようだけど。 チャイムが鳴る。 さっさと机の上を片付けての元へ行った。 「、ちょっといい?」 中山との会話に割り込んでそう言えば、は立ち上がる。 でも中山がそれを阻もうとする。 「は、オレと話してるんだ」 その言葉に心がざわつく。 はオレの恋人だ。お前のじゃない。 の腕を掴んで、強引に教室の外へ連れ出した。 * 「辰也、どうしたの?何か、大切な話?」 は少し脅えたような顔でそう聞いてくる。 …大切な話だ。 「…!」 強引にキスをすると、は驚いた顔をする。 胸を押されて唇を離すと、は怒った口調で「こういうとこじゃダメだって!」と叫ぶように言う。 「…どうしてダメなの?」 暗い声がでる。 わかってる。 ただ恥ずかしい。学校でこういうことはいしちゃいけない。 そういう思いで言ってるだけだと。 「誰かに見られたら困るの?」 もう一度キスをする。 今度は離さないよ。の力じゃ、オレを引き離せない。 はオレのものだよ。誰にも渡さない。 ほかの誰にも、絶対に。 ずっとずっと不安に思っていたことが溢れ出す。 いつかを誰かにとられるんじゃないか。 オレよりにふさわしい奴が現れるんじゃないか。 …いつか、が、オレ以外の誰かを好きになるんじゃないか。 「…っ」 が肩を震わすのを見て、さすがにキスをやめる。 が息が上がっている。 「…っ、辰也…」 は脅えた顔をする。 何も言わずにこんなことをして、当然だ。 ただ、言えばいいだけなのに。 「中山はのことが好きなんだよ」 「だからあいつとは仲良くしないで」 そう言えばきっとは理解する。 オレがイラつく理由も、すべて。 だけど、言えない。 ただ好きなだけならまだしも、中学からの同級生というのが、オレにとっては重みを持つ。 情けなくて、女々しいことだとはわかってる。 でも、止められない。 ← top → 13.11.01 |