今日もは可愛い。

「次の文を読んでくれ。じゃあ…
「はい」

現代文の授業中、が当てられた。
は立って言われた文章を朗読する。
可愛い声だ。

「…はい。そこまで」

ああ、終わってしまった。
残念だ。
もっと聞いていたかったのに。

が席に着く。
教師が書いた黒板を必死に写す姿が可愛い。
は真面目だから、授業はいつも真剣に聞いている。
ノートも綺麗に取っていて、国語系はいつも丁寧に教えてもらっている。

授業を受けるは、とても可愛い。





「あー、の唐揚げおいしそう」
「一つ食べる?」
「やった!」

昼休み、昼食の時間。
はクラスの女友達と、オレは部の仲間とそれぞれ教室で昼食を食べている。
の食べているお弁当、あれは多分のお母さんが作ったものだ。
が作るときは必ずオレのも作ってくれて、一緒に食べているから。

「おいしー!」
「じゃ、その卵焼きちょうだい」
「うん」

は友達にもらった卵焼きを食べる。
おいしそうだ。
はいつも、とてもおいしそうにご飯を食べる。

「氷室、飯食わねえの?」
「ん?食べるよ」
「全然進んでねーじゃねえか」
が可愛くてさ、ついつい見ちゃって」
「……」

ご飯を食べるは、すごく可愛い。





「あ、監督。買い出し行ってきました」
「ああ、ありがとう。部室に置いておいてくれ」

部活中、が一度抜けて買い出しに行ってきた。
重い荷物を抱えて一生懸命歩く姿は、可愛い。

「そういえば次の練習試合だが」
「はい。うちでやるんですよね。体育館の使用許可取ってきました」
「ああ、ありがとう」
「はい!」
ちーんドリンクなくなりそう」
「あ、大丈夫。こっちにもあるから」
「あ、ほんとだ〜」

はテキパキと仕事を進める。
マネージャーを始めたころはいっぱいいっぱいで部活をしていたのに、今はすっかり慣れてしっかり仕事をこなしてる。
笑顔を見せて部活に華を与えてくれる。
心なしか、がいるだけで部の連中の士気も上がってきているようだ。

まあ、本当にの存在で士気を上げるような奴は潰しに行くけど。

「みんな、頑張ってー!」

の声が響く。
ああもう、可愛い。本当に可愛い。
が応援してくれたら、どんなシュートでも決められれそうだ。





「はい、ココア」
「ありがとう」

部活後、がオレの部屋に来た。
いつも飲んでいるココアを渡す。
はカップを顔に寄せてふうふうと冷ましている。
鼻が少し赤くなって、可愛い。

、可愛いね」
「えっ?」
「可愛いよ」

ちゅ、との額にキスをする。
ひんやりした額、可愛いな。

「ど、どうしたの、突然」
「いつも思ってるよ」

だってはいつだって可愛いから。
授業を受ける姿も、ご飯を食べるときも、部活をしている顔も、今も。
全てが可愛い。

「も、もう…」
「可愛いよ、
「あ、ありがとう…」

は顔を赤くして、俯く。
ダメだよ、下を向いちゃ。
可愛い顔が、見られないじゃないか。

、こっち向いて」

が顔を上げる。
もう一度キスをする。
赤く染まった頬と鼻。
全てがオレを惑わす。

「…んっ…」

の持っていたカップをゆっくり奪う。
零れないようにテーブルの上に置いた。

「あっ」
「ココアは後にしよう?また淹れてあげるから」

もう一度キスをする。
今度は深く長いキス。

「…もう」

は口を尖らせる。

「とびきり甘いのにしてね」

それはココアのことか。
それともこれからの行為の話か。

可愛いのお願いだから、どっちも飛び切り甘くしてあげる。







可愛いきみ
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14.04.17