今日もは可愛い。 「次の文を読んでくれ。じゃあ…」 「はい」 現代文の授業中、が当てられた。 は立って言われた文章を朗読する。 可愛い声だ。 「…はい。そこまで」 ああ、終わってしまった。 残念だ。 もっと聞いていたかったのに。 が席に着く。 教師が書いた黒板を必死に写す姿が可愛い。 は真面目だから、授業はいつも真剣に聞いている。 ノートも綺麗に取っていて、国語系はいつも丁寧に教えてもらっている。 授業を受けるは、とても可愛い。 * 「あー、の唐揚げおいしそう」 「一つ食べる?」 「やった!」 昼休み、昼食の時間。 はクラスの女友達と、オレは部の仲間とそれぞれ教室で昼食を食べている。 の食べているお弁当、あれは多分のお母さんが作ったものだ。 が作るときは必ずオレのも作ってくれて、一緒に食べているから。 「おいしー!」 「じゃ、その卵焼きちょうだい」 「うん」 は友達にもらった卵焼きを食べる。 おいしそうだ。 はいつも、とてもおいしそうにご飯を食べる。 「氷室、飯食わねえの?」 「ん?食べるよ」 「全然進んでねーじゃねえか」 「が可愛くてさ、ついつい見ちゃって」 「……」 ご飯を食べるは、すごく可愛い。 * 「あ、監督。買い出し行ってきました」 「ああ、ありがとう。部室に置いておいてくれ」 部活中、が一度抜けて買い出しに行ってきた。 重い荷物を抱えて一生懸命歩く姿は、可愛い。 「そういえば次の練習試合だが」 「はい。うちでやるんですよね。体育館の使用許可取ってきました」 「ああ、ありがとう」 「はい!」 「ちーんドリンクなくなりそう」 「あ、大丈夫。こっちにもあるから」 「あ、ほんとだ〜」 はテキパキと仕事を進める。 マネージャーを始めたころはいっぱいいっぱいで部活をしていたのに、今はすっかり慣れてしっかり仕事をこなしてる。 笑顔を見せて部活に華を与えてくれる。 心なしか、がいるだけで部の連中の士気も上がってきているようだ。 まあ、本当にの存在で士気を上げるような奴は潰しに行くけど。 「みんな、頑張ってー!」 の声が響く。 ああもう、可愛い。本当に可愛い。 が応援してくれたら、どんなシュートでも決められれそうだ。 * 「はい、ココア」 「ありがとう」 部活後、がオレの部屋に来た。 いつも飲んでいるココアを渡す。 はカップを顔に寄せてふうふうと冷ましている。 鼻が少し赤くなって、可愛い。 「、可愛いね」 「えっ?」 「可愛いよ」 ちゅ、との額にキスをする。 ひんやりした額、可愛いな。 「ど、どうしたの、突然」 「いつも思ってるよ」 だってはいつだって可愛いから。 授業を受ける姿も、ご飯を食べるときも、部活をしている顔も、今も。 全てが可愛い。 「も、もう…」 「可愛いよ、」 「あ、ありがとう…」 は顔を赤くして、俯く。 ダメだよ、下を向いちゃ。 可愛い顔が、見られないじゃないか。 「、こっち向いて」 が顔を上げる。 もう一度キスをする。 赤く染まった頬と鼻。 全てがオレを惑わす。 「…んっ…」 の持っていたカップをゆっくり奪う。 零れないようにテーブルの上に置いた。 「あっ」 「ココアは後にしよう?また淹れてあげるから」 もう一度キスをする。 今度は深く長いキス。 「…もう」 は口を尖らせる。 「とびきり甘いのにしてね」 それはココアのことか。 それともこれからの行為の話か。 可愛いのお願いだから、どっちも飛び切り甘くしてあげる。 可愛いきみ ← top → 14.04.17 |