辰也はケーキには目もくれず、ひょいと私を抱えてベッドに転がす。

「…た、辰也」
「ん?」
「ケーキ、冷蔵庫に…」
「大丈夫だよ」
「だ、大丈夫じゃないと思う!」

12月の秋田は寒い。
基本的にどこの家も暖房を強く設定している。
辰也の部屋だって例外じゃない。

このままじゃ、絶対ケーキとんでもないことになる。

「この温度じゃケーキどろどろになっちゃうよ!?」
「じゃあ、暖房下げようか」

どうせ暑くなるんだし、と耳元で囁かれて顔が真っ赤になる。
あ、暑くって…!

「た、辰也は食い気より色気すぎるよ…」
もだろ?」
「!ちが」

反論しようとすると、辰也はキスで反論を抑え込む。

「辰也、待っ…」
「待てない」

辰也は私の制服を脱がす。
いとも簡単に裸にされて、顔がどんどん熱くなるのを感じる。

はすぐ、赤くなるね」
「う…」
「可愛いよ」

胸の先端にキスを落とされて、体が震える。
何度したって、きっと恥ずかしいままだ。

「あっ!」

辰也は私の足を大きく広げさせると、秘部をじっと見つめてくる。
何をするわけでもなく、ただ、じっと。

「すごいね。まだ見てるだけのに、もう濡れてきた」
「やっ、そんなとこ見ないで…っ!」
「嫌だよ」

辰也はそう言うと私の秘部に息を吹きかける。
それだけで声が漏れてしまう。

「ふ…っ」
「また溢れてきた」

辰也は楽しそうな声でそう言うと、指でそこに触れた。

「あ…っ」
「吸いついてくるみたいだ」
「や、あ、ああ…っ!」

一本指が入ってくる。
くちゅ、と音がする。
ゆっくり、辰也の指が動く。

「はあ、あっ…」

緩い動きが、少しもどかしい。
辰也の腕をぎゅっと掴んでしまう。

「気持ちいい?」
「あっ、た、辰也…っ」

辰也は意地悪そうに笑うと、指を引き抜いて自分も上着を脱ぐ。
顔を逸らすと、辰也は笑う。

「まだ恥ずかしいの?」
「は、恥ずかしいよ…っ」
「もう何回もしてるのに」

何回したからって恥ずかしくなくなるとか、そういう問題じゃない気がする…。
辰也の裸見るのだって、もう…。

「じゃあ、見なくてもいいよ」
「え?わっ!」

辰也は私の体をひっくり返して、四つん這いにさせる。

「や、やだ…っ」

動物みたいな格好。
顔が熱くなるのを感じる。

また、辰也の指が一本入ってくる。
いつもと違う角度、違う刺激に、一際高い声が出る。

「あ、ん…、あっ!」
「後ろからされるの、好きみたいだね」
「ち、ちが、あっ!」
「ああごめん、どっちも好きか」

反論しようとすると、辰也が中を弄る指を増やすものだから、喘ぎ声にかき消される。
太股を自分の愛液が伝う。
羞恥でぎゅっと目を瞑る。

「あっ、た、辰也っ、あっ!」

辰也の舌が私の太股に這う。
力が抜けそうだ。

「あっ、た、辰也…っ」
「可愛いね」
「ひゃ、あ…っ」

辰也の指をきゅっと締め付けてしまう。
恥ずかしいぐらいに、濡れているのがわかる。

「た、辰也っ、も…」
「ん?」

後ろを振り向いて、辰也の目を見る。
辰也はいつもの、楽しそうな顔。

いつもの、意地悪な顔だ。

「あっ、辰也…」
「どうしたの?」
「あっ、ん…っ」
「気持ちいい?」

いやらしく動く辰也の指。
あと少し。
もどかしい。

「辰也、あっ、わ、わかってるでしょ…っ」
「わからないなあ」
「…っああ!」

辰也はとぼけた声を出す。
ぎゅっとシーツを掴んだ。

「あっ、欲しい、の…っ、辰也の挿れてほしい…っ」

ぎゅっと目を瞑ってそう訴える。
辰也はきっと、笑っているだろう。

「いやらしくなったね」
「え…?」

辰也は自身に避妊具をつけて、私のそこにあてがう。
耳元で、囁かれる。

「前は『言えない』って泣きそうになってたくせに」
「…っ」
「欲しいんだ」
「ば、バカ…っ」

頭を振って目をぎゅっと瞑る。
涙がこぼれた。

「あ、ああっ…!」

辰也は私の涙を舐めとると、自身をゆっくり挿入してくる。

「意地悪しすぎた?」
「あっ、あ、ばか…っ」
「ごめんね。いっぱい気持ちよくさせてあげる」
「ああ…っ!」

辰也は私の腰を掴んで激しく動き出す。
高い声を出して、ぐしょぐしょに濡らして、恥ずかしい。

恥ずかしいけど、気持ちよくて。

「あっ、た、辰也…っあっ!」
…」
「たつ、辰也っ、キスして…っ」

後ろを向いて、泣きながらそう言う。
キスが欲しい。辰也のキスが。


「ん…っ」
「ふ…」

深い深いキスをする。
辰也とキスをするのが、すごく好き。
頭の中も、体も、辰也でいっぱいになっていく。

「あっ、辰也…っ!」
「可愛い声」
「あっ、ああっ!」

がくんと力が抜けて、顔をシーツに沈める。
辰也と繋がっている、支えられている部分だけ上に突き出す形になる。

「ああ、ん、やあ…っ」
「気持ちよさそうだね」
「やあっ、あっ!」

辰也は私の胸をぎゅっと掴む。
胸全体を揉みしだかれ、先端をいじられて。

「た、辰也…っ」
「オレも気持ちいいよ。の中、最高だ」
「あ、あっ、辰也、すき…っ」

想いがこぼれる。
いつも辰也が好きで、胸が張り裂けそうだと思っているのに。
こうやって一つになると、全部こぼれてしまいそうだ。

「あっ、辰也…っ」
…っ」

絶頂が近付く。
頭が真っ白になる。

「あっ、たつ、辰也…っ!」

ぎゅっとシーツを握る。
頭の中が真っ白になった。






「ん…」

辰也は私をベッドに寝かせると、頬にキスをする。
私は辰也にぎゅっと抱きついた。

「辰也…」


優しい時間。穏やかな時間だ。
辰也といられて、幸せ。

…でも、なんか忘れてるような…。

「あっ!」
?」
「ケーキ!」

慌ててベッドから起きあがる。
ケーキだ…!

「と、溶けてる…」

ケーキはどろどろというほどじゃないけど、少し溶けてしまっている。
せっかく可愛い形のを選んだのに…。

「バカ!」
「ごめんね」

ちょっと冷蔵庫に入れればよかっただけなのに…。
せっかくのケーキ…。

「辰也のバカ!色情魔!」
「色情魔って…」

辰也はちょっと不機嫌な顔になって私を抱き上げた。

「それを言うならもだろ」
「な…っ」
「あんなに声出して悦んで」
「わーっ!」
だって夢中でケーキなんて忘れたくせに」
「ま、待って…っ!」

辰也の口を塞ごうとするけど、その手を捕まれる。
そのまま白いシーツに沈められた。

「た、辰也、ケーキ…」
「また忘れさせてあげようか」
「せめて冷蔵庫に…」
も食い気より色気なくせに?」
「!違うよ!」
「ふうん?」
「ひゃ…っ」

辰也は私の首筋にキスをする。
ま、待って…!

は嘘つきだね」
「…た、辰也…っ」
「本当はオレに抱かれるの大好きなくせに」
「ちがっ」
「ん?」

辰也は顔を近づけてくる。
これは…。
多分、ちゃんと言わないと、ケーキが大変なことになる。

「う…」
「どうしたの?」
「す、好きです…」
「食い気より色気?」
「…です」
「ケーキなんて忘れるぐらい夢中になっちゃう」
「…っ」
「どうなの?」
「そう、です…」

顔を両手で押さえながら、必死に言う。
恥ずかしくて、頭が沸騰しそうだ。

「じゃあ、ケーキ冷蔵庫に入れてくるね」
「う、うん…」
「それで、の好きなことをいっぱいしよう」

辰也はちゅ、と音を立ててキスをする。
もう、なんか、本当…。

「……」

今日、ケーキ食べられるかな…。








 
13.12.24

メリークリスマス!



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