期末テストも無事終了。 ウィンターカップまで、あと少し。 「…よしっ」 明日は辰也とクリスマス。 当日までまだ間があるけど…仕方ない、バスケ部員の宿命だ。 当日に二人きりだったら、それはWCに行けないってことだし、そんなのは嫌だ。 クリスマスプレゼントを用意して、ベッドに入る。 明日も部活はある。 早めに寝て、明日に備えよう。 「…おやすみなさい」 …少し興奮してる。 恋人と、辰也と初めてのクリスマスだ。 小さいころ、サンタさんを楽しみにしすぎて眠れないなんてこともあったっけ。 そんなことを思い出しながら、目を閉じた。 * 「メリークリスマス!」 部活が終わり、ケーキを買ってきて辰也の部屋で小さなクリスマスパーティだ。 ブッシュドノエルを切り分けて、乾杯だ。 「っ!」 「ふふ」 さて、ケーキを食べよう! そう思ってフォークを取ろうとすると、辰也が私の肩を抱き寄せてくる。 そのまま、唇にキスをする。 「た、辰也」 辰也はずいぶんと色っぽい顔をしている。 これは、間違いなく「そういうこと」直行コースだ。 いや、クリスマスだし、恋人同士なんだし、それはまあ、構わないんだけど。 でも、その前に。 「ん?」 「プレゼントあるから、ね?」 そう言って辰也から少し顔を離す。 たくさん迷って決めた、プレゼントだ。 「がプレゼント?」 「な…っ!」 思わず辰也を叩く。 ば、バカ! 「いたっ、冗談だよ」 「バカ!」 「ごめんごめん」 辰也は笑いながら私の頭を撫でる。 …もう! 「これで機嫌直して?」 頬を膨らませていると、どこから出したのか、辰也が綺麗にラッピングされた箱を差し出してくる。 胸が高鳴る。 淡いピンク色の、細長い箱。 「ありがとう…」 「うん」 「あ、えっと…開けていい?」 「もちろん」 ドキドキしながら、包装を丁寧にほどいて行く。 箱の中には、小さな丸い飾りのついたペンダント。 「…可愛い」 「に似合うと思って」 「ありがとう…」 なんだか、涙が出そうだ。 …すごく、嬉しい。 好きな人にもらうプレゼントが、こんなにも嬉しいなんて。 「つ、つけてもいい?」 「うん」 そう言って箱からペンダントを出そうとすると、辰也が先にそれを取ってしまう。 「もうちょっとこっち来て」 あ、これは。 理解した私は、辰也の方に体を詰める。 辰也は前から私の首に手を回す。 抱きしめられているような形だ。 「ん…」 「ああ、ごめん。冷たい?」 「ううん、平気」 辰也の冷たい指が首に触れる。 ひんやりした感触に、少し体が跳ねる。 「できた」 辰也が体を離して私の鎖骨の辺りを撫でる。 「うん、似合ってる」 自分でもペンダントトップを触って確かめる。 そうしたら辰也がぎゅっと抱きしめてくる。 「わっ!?」 「すごく可愛い。思った通りだ」 苦しいくらい強い力で抱きしめられる。 辰也もすごく嬉しそうだ。 「辰也、辰也」 「ん?」 「私も見たい」 「ああ、そっか」 自分でも付けたところを見てみたい。 惜しいけど辰也に体を離してもらって、鞄から鏡を出す。 「…かわいい…」 「うん。は可愛いから、何を付けても似合うよ」 「そ、そうじゃなくて」 辰也はセンスがいいなあ。 凄くシンプルで、でも可愛くて、優しいイメージだ。 「…ありがとう。すごく嬉しい」 胸の奥がじんわり暖かくなる。 本当に嬉しい。 一生、大切にしよう。 「」 辰也は優しく私にキスをする。 心臓が跳ねるようなドキドキではなくて、優しくて、甘くて、心地いい。 「辰也、私もね、プレゼントあるの」 「うん」 そう言って鞄からプレゼントを取り出す。 ドキドキしながら、辰也に渡す。 「開けるね」 「うん」 「手袋だ」 クリスマスプレゼントは手袋にした。 辰也はちょくちょく「秋田って寒いな…」と零していたし、誕生日プレゼントと同じく暖かいものにした。 「あったかいな」 「うん。こっち寒いし、暖かいものがいいかなって」 「ありがとう」 辰也は手袋を見つめた後、今度はおでこにキスをする。 辰也も嬉しそうな顔だ。 …喜んでくれて、よかった。 「」 「うん」 「可愛い」 「ありがとう」 「…ねえ、やっぱり」 「?」 「もう一個、プレゼント欲しいな」 辰也は自分のおでこと私のおでこを合わせる。 期待するような瞳だ。 「…もう?」 「早い?」 「…まだケーキ全然食べてないよ」 「冷蔵庫に入れておけば大丈夫だよ」 「…もう」 苦笑して、辰也にキスをする。 まったく、辰也は。 「絶対後で食べるからね」 「もちろん」 「…じゃあ、いいよ。あげる」 ぎゅっと辰也を抱きしめる。 少し早い、クリスマスプレゼントだ。 ← → 13.12.06 |